Aug 06, 2019 column

名作『ライオン・キング』の“超実写版”で見せたディズニーの本気

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2017年以降、ディズニー・ルネサンスと呼ばれる第二次黄金期の作品群の実写化に着手したディズニー。エマ・ワトソン主演の『美女と野獣』は全世界で12億ドルを超える大ヒットを記録、現在公開中の『アラジン』も世界興収10億ドルを突破し、日本でも110億円超えの大ヒットを記録中だ。そんな中、いよいよ黄金期のマスターピース『ライオン・キング』が登場する。全世界で圧倒的な知名度を誇り、実写を超えた“超実写版”を謳う本作だが、そのリメイクのプロセスと完成した映像に、ディズニーの本気を見た。

オリジナル版『ライオン・キング』のすごさ

リメイク版について語る前に、まずは1994年のオリジナル版を振り返ってみたい。1989年の『リトル・マーメイド』の大ヒットによって、暗黒期を脱したディズニーは、『美女と野獣』(91年)、『アラジン』(92年)を立て続けにヒットさせ、まさに黄金期の真っ只中にいた。そんな中で登場した超期待作が『ライオン・キング』だ。同作は当時のアニメ史上最大のヒット作となっただけでなく、いまだに全世界の観客動員数はディズニー・アニメーション史上ナンバー1を誇り、映画のサウンドトラックの売上はアニメーション史上1位、セルビデオ(VHS)の売上世界一。同作によって、ディズニーの黄金期はまさに頂点に達した。

翌年の『トイ・ストーリー』の登場で、アニメーションは2Dから3DCGへと移行していくことになるが、そういう意味でも『ライオン・キング』での2Dアニメーション技術はまさに成熟期。ディズニーの持ち味である滑らかで表情豊かな手描きアニメーションに、当時の最先端の技術を取り入れた映像美は、観客を強く惹きつけた。その最たる例は、『ライオン・キング』を象徴するシーンである冒頭の「サークル・オブ・ライフ」だ。荘厳かつダイナミックな楽曲にのせて、さまざまな動物たちが王国プライドランドの“プライドロック”へと集まり、生まれたばかりの主人公のライオン、シンバの姿に動物たちが次々とひざまずく。94年の劇場公開当時、この4分以上もあるシーンが予告編としてそのまま使用され、その完成度に圧倒されて劇場へ足を運んだ人も多かったはずだ。

ストーリーと音楽のチャレンジ

童話の脚色などが多いディズニー長編アニメーションの中で、『ライオン・キング』はオリジナルストーリーとして一から作り上げられた。偉大な父の死に責任を感じた主人公シンバは、陰謀を企てた叔父によって王国を追われる。そしてシンバは、外の世界で新たな仲間たちに触れながら、王になるということ、引いては自分が生きる意味と役割を見出し、成長していく。“生きる者には役割があり、各々がそれを全うすることで世界のバランスが保たれる”という崇高なテーマを、普遍的かつ大人から子どもまで楽しめるストーリーに仕立て上げた。

そして『ライオン・キング』は音楽の面でも画期的だった。『アラジン』の『ホール・ニュー・ワールド』など、数々の名曲を生み出してきた黄金期の立役者アラン・メンケンをあえて起用せず、ミュージカル部分の作曲は英国のミュージシャン、エルトン・ジョンを起用。そして壮大かつメロディアスな作風で、当時、映画音楽界で脚光を浴びていたハンス・ジマーがスコアを担当し、ポップ感とスケール感を両立させた。エルトン・ジョンもハンス・ジマーも本作でオスカーを獲得している。素晴らしいストーリーと音楽、熟練の作画とテクノロジーが融合された珠玉の名作、それが『ライオン・キング』だった。

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