ロメロ版&レト版/ヒーローとの鏡像のような関係
60年代に全米で爆発的な人気を博したテレビシリーズ『怪鳥人間バットマン』(66~68年)でジョーカー役を務めたのはシーザー・ロメロ。タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19年)でも少し触れられていた同シリーズはコメディ色を前面に押し出した、キャンプなバカバカしさが売りで、ジョーカーもライトなノリで悪事に精を出す愉快な怪人として描かれていた。とはいえそのビジュアルインパクト、それにキャラクターの強さには特筆すべきものがあり、実際ヒース・レジャーもその役作りにおいてロメロ版ジョーカーの哄笑を大いに参考にしたという。
2016年にDCコミックス・ヴィランが大量出演した『スーサイド・スクワッド』にもジョーカーは登場している。レジャーの死後に同じ役を演じるというプレッシャーに耐え、ジャレッド・レトがやはり厳しい役作りに挑んだ(共演の俳優陣に死んだ豚、生きた鼠、銃弾をプレゼントする、かと思えば撮影現場では誰とも口を利かない、など)。出来上がった作品の評価は賛否大きく分かれることとなり、レトの怪演も多少空転してしまった感は否めないが、その気合の入ったアプローチには敬意を表したい。
バットマンが悪との戦いを続ける限り、そこには必ずジョーカーも存在する。二人の間には鏡像のような関係がある。ゴッサム・シティから犯罪を一掃し、街に秩序をもたらそうとするバットマン。かたやジョーカーの目的は世界を混沌の中に叩き込むことだ。悪人を罰するにおいても決して生命を奪うことはしないバットマンに対して、ジョーカーは鼻でもかむように、いとも簡単に殺しをやってのける。このヴィランの生きがいは、正義に取り憑かれたヒーローも結局自分と同じように狂ってるじゃないか、と嘲笑うことにほかならない。
二人の戦いはこれからもコミックや映画の中で果てることなく続くだろう。その起点が描かれる最新作をご覧になった後は、改めてさまざまなメディアに登場するジョーカーに触れてみてはいかがだろうか(その過程で正気を失うことがないよう、十分に注意されたい)。
文/てらさわホーク
「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる悪のカリスマ、ジョーカーに変貌したのか? 切なくも衝撃の真実が明かされる――。
監督・製作・共同脚本:トッド・フィリップス
共同脚本:スコット・シルバー
出演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開中
R15+
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公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/
<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(3枚組):5990円(税抜) Blu-ray:2381円(税抜) DVD:1429円(税抜)
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ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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