全米で日本映画旋風が吹き荒れている。12月10日に発表された、ロサンゼルス映画批評家協会のアニメ部門で宮崎駿監督のアニメ作品『君たちはどう生きるか』が受賞。今週末(12月8日から10日の3日間)の全米、カナダを含むオープニングで約1045万ドル(約15億円)の興収で堂々1位。先週末 (12月1日から3日の3日間) オープニング興収で約1100万ドル(約16億円)を記録した、『ゴジラ−1.0』は、北米上映館を232館増やし、全2540館(デッドライン発表)で、次なる観客動員に対応したが、先週末2位の映画『ハンガー・ゲーム0』と接近戦の後、約834万ドル(約12億円)の興収で3位。いまだトップ3の座で、ハリウッド大作を抑えて奮闘している。
今年3月に公開された邦画アニメ『『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(英題:World Tour2023 – To the Swordsmith Village – Demon Slayer』の約1013万ドル(約14億円)を抜いただけでなく、今年公開された字幕付き外国語映画トップのオープニングとなった『ゴジラ−1.0』。12月の1週目は感謝祭の翌週末映画館動員が比較的低いことで知られているが、1位となったビヨンセのコンサート映画『Renaissance: A Film by Beyonce』の興収約2180万ドル (約32億円) はこの時期におけるベストスタートを記録。今秋のテイラー・スウィフトのコンサート映画『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』のオープニング興収約9280万ドル(約135億円)に比べると低いが、スタジオ映画の『トロールズ・バンド・トゥギャザー(原題)』(4位)、『ウィッシュ』(5位)『ナポレオン』(6位)など、すでに感謝祭前の22日から公開されている大作映画の人気が低いことが顕著に表れていた。
感謝祭前の11月17日から公開されていた『ハンガー・ゲーム0』は12月3日の週末時は公開から4週目にしていまだに2位。4日(月)、『ゴジラ−1.0』が興収1位となりゴジラファンを唸らせたが、5日(火)には『ハンガー・ゲーム0』が1位の座に舞い戻って接戦。6日(水)、7日(木)に『ゴジラ−1.0』がかろうじて興収1位に舞い戻ったものの、9日(金)には宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるのか』が約558万ドル(約8億円)で堂々1位となったのである。
全米映画ランキング 3位の『ゴジラ−1.0』
ロッテントマトの批評家たちから、批評家支持率97%、そして観客支持率98%を得た『ゴジラ−1.0』は久しぶりにコアなKaiju (ほぼ、米国の外来語として映画ファンに浸透している呼び名カイジュー)ファンを喜ばせただけでなく、一般人が求めるスティーヴン・スピルバーグ監督作品『ジョーズ』のような絶叫モンスター・エンターテインメント映画として高評価を得ている。トマトメーターのランク付数字だけでいくと、第89回ニューヨーク映画批評家協会賞をとった『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が、批評家支持率93%で観客支持率84%。宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるのか』の批評家支持率が96%で観客支持率が91%。12月初週に興収2位だった『ハンガー・ゲーム 0』は満足度64%と、3位だった『ゴジラ−1.0』とかなりの差がある。『ゴジラ』現象は、配信サービスの普及で、字幕付きコンテンツを見ることに慣れた北米一般人が、邦画実写作品を劇場で見ることに違和感を感じず、『ゴジラ』という長年の人気キャラに加えた山崎監督のVFXビジョン、そして、終戦直後の日本でアメリカ人にも分かりやすい”カミカゼ”特攻隊を脱落した主人公が再度立ち上がるヒーロー物語が、コアなゴジラファンを熱狂させ、プレミアで映画を見た観客などの絶賛がKaiju旋風を巻き起こしたのである。