スピルバーグ監督と競いあうのが、去年、カンヌ国際映画祭コンペティション部門でパルムドールを受賞した『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンド監督。米アカデミー賞予測サイト、ゴールドダービーでは、監督賞は最もサプライズの多い部門とし、映画『パルプ・フィクション』や『パラサイト 半地下の家族』と比較し、パルムドールを受賞したリューベン・オストルンド監督のアカデミー賞監督賞受賞チャンスは多大だと予測している。
映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』に続き、2度目のパルムドールを受賞したオストルンド監督の映画は独特。『逆転のトライアングル』は豪華客船を舞台にした痛烈な社会派エンタテイメント映画。男性トップモデルとその恋人のインフルエンサーなど、ソーシャルメディアとともに大きく変化した貧富の格差、ジェンダーの平等さをテーマに、窮地におちたときの人間の本能、権力のどんでん返しを面白おかしく描いている。主演スターは次世代英国美男子ハリス・ディキンソン。ハリスの恋人役は元モデルで初主演女優となるチャールビ・ディーン。名優ウディ・ハレルソンが豪華客船のキャプテンを演じ、観客をとんでもない荒波の旅へ誘うのである。
ウディ・ハレルソンがアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされていたのが、マーティン・マクドナー監督の『スリー・ビルボード』。主演のフランシス・マクドーマンドが2度目のオスカーを手にいれた傑作から5年ぶりの新作『イニシェリン島の精霊』は今年主要8部門9ノミネート。俳優部門では主演コリン・ファレル、助演男優部門でブレンダン・グリーソンとバリー・コーガン。そして、助演女優賞にケリー・コンドンがノミネートされ、アカデミー協会員俳優ウィングからの支持が熱い。
『エルヴィス』のオースティン・バトラーが先日の英国アカデミー賞で主演男優賞を受賞したことによって、コリン・ファレルのアカデミー賞受賞の確率は下がったと報道されているが、映画批評家の評価、そしてアンサンブルキャストとして、アカデミー賞有力作品であることは間違いない。