約29年前、スティーブン・スピルバーグ監督映画『ジュラシック・パーク』(1993)が映画の歴史を変えた。監督はすでに『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『E.T』など、80年代エンターテイメント映画の頂点を登り詰めていたが、少年時代に大好きだった恐竜が生きていた原風景を描くことは夢のまた夢。
監督のビジョンはあらゆる人材を結集させ、茫漠たる草原を闊歩するブラキオサウルスの雄大な姿など、映画館で巨大な恐竜を観た記憶はいまだに鮮明である。シリーズの最終回となる『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は全米で先月公開。全世界(映画公開済)興行収入を合わせると現在、約9億2千万ドル(約1,246億円)を突破している。
米WIREDマガジンなどでは、シリーズに登場した恐竜を過去作と比べ、古生物学者を納得させる恐竜の仕上がりだと生物学的な観点で映画を評価。93年当初、学術的には未確認だったという恐竜の羽毛。2014年の羽毛説をもとに、映画の中の恐竜たちも実際の恐竜の姿に近づこうとしている。
それでも映画ファンは好みの恐竜たちを #JurassicPark などのハッシュタグでツイート。羽毛がなくても『ジュラシック・パーク3』の恐竜が一番好きだったなど、過去作を振り返りながら、恐竜ラブのノスタルジーに浸っている。(参考:Amblin Partners)
恐竜の世界にあこがれたパイオニアたち
原作「ジュラシック・パーク」著者のマイケル・クライトン
ハーバード大医学部在学中に匿名で作家デビュー。卒業後は本名で「アンドロメダ病原体」「大列車強盗」など、スリリングなSFや冒険小説を執筆し、ミリオンセラーを多数、生み出した作家である。あまり知られてないのが、彼自身、映画が好きで、自ら監督した映画『コーマ』『ウエストワールド』など、それほどヒットはしなかったものの、のちに彼自身が制作総指揮したTVシリーズ「ER緊急救命室」と、あらゆるメディア分野で活躍した。
原作「ジュラシック・パーク」の発案は長女が生まれた際、クライトン自身が好きだった恐竜で、子供部屋を飾り付けて以来、娘は恐竜ファン。「動物園で何が見たい?」という質問に、娘が「恐竜!」と答えたことが、小説のインスピレーションにつながったと、1990年のNBCテレビニュースで語っている。
舞台は、発掘された琥珀の中の蚊が吸っていたとする恐竜の血液のDNAをもとに、様々な恐竜を復元された恐竜のテーマパーク。95年には、続編「ロスト・ワールド―ジュラシック・パーク」が出版され、映画シリーズはこの2作品をベースに映画化されている。