Jul 18, 2022 column

第14回:夏到来!映画『ソー:ラブ&サンダー』が全米興収トップで弾けている理由

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豪華スターの火花散るアクション

雷神ソー役 クリス・ヘムズワース
マーベル・コミックの人気ヒーローを映画化した『マイティ・ソー』が始まったのが2011年。当時、ソー役に抜擢されたクリスは28歳。オーストラリアのメルボルン出身で、長身と端正な出立ちは、スター路線を一気に駆け上がり、MCUシリーズの主役は今回で4作目。その間に『アベンジャーズ』の雷神ソー役にも出演している。正統派路線も多い中、リメイク版『ゴーストバスターズ』では彼のコメディセンスを開花。今回、ワイティティ監督との息の合った演技はさらに存在感を増し、シリーズおなじみのヴァルキリー役テッサ・トンプソンとジェーン役のナタリー・ポートマンという強い女性キャラに囲まれて、愛らしい雷神の一面も見せてくれる。

ジェーン・フォスター役 ナタリー・ポートマン
イスラエル出身のナタリーは、3歳からアメリカで教育を受ける。子役スターとして仏監督リュック・ベッソンの『レオン』でデビューし、その演技に多くの観客が号泣した。その後、『スターウォーズ』プリクエル3部作のヒロイン、パドメ役に抜擢され、『ブラック・スワン』のバレリーナ、ニナ役でアカデミー賞主演女優賞を受賞。その後の『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』の演技も力強く、現在、揺るがないスター女優である。ナタリーはパワフルになった今作のヒロイン、ジェーンを演じるために、筋トレほか、ハイプロテイン・ダイエットで役作りに励んだそうだ。怪我をしないようにバランスと俊敏性の訓練もするなど、ハイアクションのスタントのために10ヶ月のトレーニング。『ブラック・スワン』でも見せた徹底した役作りのためのボディで、銀幕でもバッタバッタと敵を倒す魅力的なヒロインである。

神殺しのゴア役 クリスチャン・ベール
クリスチャン・ベールほど、役ごとに変貌し、カリスマに溢れた俳優はいない。英国出身、子役として活動して13歳ときにスティーヴン・スピルバーグ監督の『太陽の帝国』で銀幕デビュー。以来、そのストイックな役作りには定評があり、『アメリカン・サイコ』を筆頭に、『バイス』なでは別人となる激太りにも挑戦していた。2005年からの『バットマン』3部作ではクリストファー・ノーラン監督とタグを組み、彼のキャリア史上最高の興行収入を稼ぎだしている。

今作品では神殺しのゴア役。娘を死なせた慈悲なき王を殺し、全宇宙の神の抹殺を誓うというダークな役どころ。マーベルファンの7歳の息子にせがまれて、この役に挑戦することにしたそうだ。非情なようでいて、人間の弱さを象徴したゴアは挑戦しがいのある役。マオリ族出身の監督のビジョンがクリスチャン・ベールの肉体にそのまま表現されたかのように、特殊メークをあしらった顔や血管が浮いたような肌など、『カメレオンボディ」と囁かれるクリスチャン・ベールの役作りは見事である。

クレジットロールの最後まで目が離せない最高の宿敵ゴアと雷神ソー、そして、ヒロイン、ジェーンとの恋は実るのか。家族で映画館鑑賞してほしい爽快なエンターテイメント作品である。

文 / 宮国訪香子

作品情報
映画『ソー:ラブ&サンダー』

舞台は『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界。アスガルドの王として、そして宇宙を救うヒーローとして、家族や恋人、人類を守るために戦い走り続けてきたソーだが、多くの大切な人を失い、いつしか戦いを恐れるようになっていた。そんな彼が”自分は何者なのか“と我に立ち返り、「ヒーローは卒業だ。」と、ゼロから新たな道を歩むことを決める。

監督:タイカ・ワイティティ

出演:クリス・ヘムズワース、テッサ・トンプソン、ナタリー・ポートマン

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

©Marvel Studios 2022

公開中

公式サイト thor-love-and-thunder

宮国訪香子

L.A.在住映画ライター・プロデューサー
TVドキュメンタリー番組制作助手を経て渡米。 ニューヨーク大学大学院シネマ・スタディーズ修士課程卒業後、ロサンゼルスで映画エンタメTV番組制作、米独立系映画製作のコーディネーター、プロデューサー、日米宣伝チームのアドバイザー、現在は北米最大規模のアカデミー賞前哨戦、クリティクス・チョイス・アワードの米放送映画批評家協会会員。趣味は俳句とワインと山登り。