Jun 02, 2017 column

小栗旬、山本耕史を始めとした豪華キャストにステージが動く新劇場との組み合わせは、最高のエンタテインメント!

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手練だらけの中で、最強俳優は・・・

動きの点では、主人公の捨之介を演じる小栗旬、蘭兵衛の山本耕史、天魔王の成河、兵庫の青木崇高などは、身体能力が高く、それぞれの個性を生かしたアクションを楽しませてくれる。
小栗は、ひょろりと痩せたイメージだったが、この数年、トレーニングに励み、かなり肉体改造された様子。放送中のドラマ『CRISIS公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ制作 フジテレビ放送 火曜よる9時)も、彼のアクションが売りのひとつになっている。下半身の筋肉がしっかりしてきたようで、重心を下げて、じっくり見せる、粘りのある動きも可能になり、主人公の貫禄が出てきた。

山本耕史は、様式的な色気ある殺陣を見せる。風に髪をなびかせてのアクションは眼福。成河は、跳躍が印象的。トリッキーな動きと、独特な声の出し方で、底知れない悪を感じさせる。沙霧役の清野菜名も、運動神経の良さを生かして、いい動きをしている。青木は、ガタイが良く、大きな劇場にまったく負けない余裕を感じた。

 

(C)2017『髑髏城の七人』花、【撮影:田中亜紀】

(C)2017『髑髏城の七人』花、【撮影:田中亜紀】

そんな生きのいい俳優たちの中で、誰よりも劇場を使いこなしているように思ったのは、新感線の看板役者である古田新太(刀鍛冶の雁鉄斎役)だった。劇場のストロークを生かした、ユニークなアイデアを取り入れて、芝居にアクセントをつけていたことが印象深い(本人のアイデアか演出・いのうえひでのりのアイデアかはわからないが)。古田は登場するたび、客席を沸かせ、今回は主役ではないながら、やっぱり看板役者であることを見せつけていた。

 

何度でも楽しめるコンテンツ

もともとは、1990年、古田を主人公の捨之介役にして上演されたのが『髑髏城の七人』。97年の再演で新感線が大ブレイクして、いまの人気に至っている。7年ごとに再演を繰り返し、2004年に、古田が主役のバージョンと、市川染五郎が主役の2バージョンを上演後、2011年には小栗旬が捨之介役を演じることになり、今回の「花」バージョンでも再度、小栗が演じた。「鳥」では阿部サダヲ、「風」では、松山ケンイチがキャスティングされている。

役者に合わせて、設定やストーリーがマイナーチェンジをすることも『髑髏城〜』の面白さ。だからこそ何度見ても楽しめる。

 

(C)2017『髑髏城の七人』花、【撮影:田中亜紀】

(C)2017『髑髏城の七人』花、【撮影:田中亜紀】

今回の企画は、特殊なステージありきのため、豊洲限定で、地方公演が不可能だが、代わりにはじめてのライブビューイングが行われ、日本各地のファンにも感動が届けられた。
客席が動き、ステージが移り変わっていくことが醍醐味なのに、そのライブ感はでるのだろうかという心配は、無用だった。場面から場面へじわじわと横にスライドしていく様子をなめらかに観ることができた。これはこれで撮影スタッフが優秀なのだなと感心。

最先端の技術や機構とは、結局は、優秀な人間の知恵と腕によって生きるのだ。

 

文/木俣冬

 

ONWARDpresents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season花
Produced by TBS

 

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:小栗旬/山本耕史/成河/りょう 青木崇高 清野菜名/近藤芳正/古田新太 ほか

IHIステージアラウンド東京  ~6月12日(月)まで。
「鳥」は6月27日〜9月1日

公式サイト http://www.tbs.co.jp/stagearound/hanadokuro/

(C)2017『髑髏城の七人』花/TBS・ヴィレッヂ・劇団☆新感線、【撮影:田中亜紀】

 

文・木俣冬

 

文筆家。主な著書に「ケイゾク、SPEC、カイドク」(ヴィレッジブックス)、「SPEC全記録集」(KADOKAWA)、「挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ」(キネマ旬報社) 、共著「おら、あまちゃんが大好きだ! 1、2」(扶桑社)、「蜷川幸雄の稽古場から」、構成した書籍に「庵野秀明のフタリシバイ」、ノベライズ「マルモのおきて」「リッチマン、プアウーマン」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」「恋仲」「IQ246~華麗なる事件簿」など。
エキレビ!で毎日朝ドラレビュー連載。 ほか、ヤフーニュース個人https://news.yahoo.co.jp/byline/kimatafuyu/ でも執筆。
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