マーベル関連作の中でもアウトサイダーでありアウトローな異端児が巻き起こす、ハチャメチャなアクション・コメディの『デッドプール』が御意見無用なまでにパワーアップを経て俺ちゃんリターンズ。続編となる『デッドプール2』も前作同様、ちょっとした会話ですら映画オタクがニヤリとする情報量を詰め込みまくったサービス精神旺盛の作りっぷりに感服。そんな“俺ちゃん”こと“デップー”を紐解くべく大解剖!
『デッドプール』はシリーズを通して“愛”の物語である
全米で5月18日に公開された続編『デッドプール2』。封切り3日間で1億2500万ドルのオープニング興収を叩き出し、当然のことながら首位を獲得。世界81ヶ国すべての国で初登場1位デビューした本作は、日本では6月1日からの公開と少々待たされるも、日本の映画興行関係者からはR指定だった前作がまさかの20億円超え大ヒットを記録したことで、『デッドプール2』がどこまで成績を上げてくれるのか今一番注目のマトになっている。全世界興収は3日間で3億ドルを突破する凄まじい勢いで、20世紀フォックスが送り出した作品の中でも前作同様に再び記録を塗り替えまくっており、果たして最終的にどこまで興収は伸びるのだろうか。
特殊部隊で活動していたウェイド・ウィルソンは退役後、娼婦のヴァネッサと出会い交際し、結婚の約束をするも末期ガンと診断される。藁をも掴む思いだったウェイドはガン治療と引き換えに秘密裏で行なわれていた人体実験の被験者となることで取引をする。が、ミュータントの怪しげな男フランシスによって細胞変異させる物質を投薬され、不死身な肉体を得たおかげでガン細胞は消えるも、後遺症で全身が焼けただれたような容姿へと変貌させられる。始末されてしまう前に実験施設から逃げ出すも、元の姿へ戻ってヴァネッサの前へ再び現れたい気持ちが芽生え、デッドプールと名乗りフランシスの行方を追う…というのが前作『デッドプール』(16年)の物語でありプロローグである。
そして続編『デッドプール2』も再び愛の物語であった。結局元の姿には戻れずも、ヴァネッサと子作りを約束し幸せな生活を送ろう…としていたウェイドはアパートをマフィアに襲撃される。そんな中、コロッサスからX-MENチームへスカウトされ、“見習い”として活動を始めた矢先、ミュータントを集めた孤児院で育てられている少年ラッセルが能力を使って大暴走。ウェイドはラッセルが虐待されていることを信じ、孤児院を敵に回すことを選択し早々にX-MENをクビにされてしまう。2人はアイスボックスなるミュータントの犯罪者たちが収容される施設送りとなり、と同時に未来から屈強な謎の男ケーブルがラッセルを殺しにやってきて収容所は壊滅。逃げ出したウェイドは、運を操るセクシーなミュータントのドミノなど、特殊能力を持つメンバーを集めてX-MENをパクった組織“Xフォース”を作り、ラッセル救出ミッションを敢行するのだった。
冒頭から音楽へのこだわり、R指定描写が炸裂!
『デッドプール2』は、デップー誕生の流れを描くことが不要だからか、前作よりもテンポがとても早く、オタク的情報量の詰め込み部分も1.5倍ほどパワーアップ。音楽も相変わらず80年代ヒットソングを中心にフィーチャーし、前作はジョージ・マイケル(ワム!)の「ケアレス・ウイスパー」推しだったが、続編ではa-haの「テイク・オン・ミー」へ。さらにライアン・レイノルズがカナダ出身のハリウッドスターへと駆け上がったこともあり、同じカナダ人のセリーヌ・ディオンまで協力する豪華さ。そしてR指定の映像表現は伊達じゃない。冒頭から刀でカラダをバラバラにする人体部位欠損シーンも炸裂し、「R指定だゾ!」というゴリ押し感をわざわざ見せ付けてくるシニカルな展開も素晴らしいの一言。