春夏秋冬、3ヶ月ごとに入れ替わっていく連続テレビドラマ。慌ただしくて、過去のあのドラマやこのドラマがどんな話だったかさえ思い出せないこともあるが、『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』(テレビ朝日)だけは、放送から3年経ったいまでも鮮烈に印象に残っている。
2014年6月5日に放送された最終回『越境』のあのラストシーンは、ドラマ好きの間では語り草となっている。おりにつけ、あのラストシーンにおける主演の小栗旬の顔を思い出して、もやもやしながら3年。ついに続編『贖罪』が10月29日(日)に放送されることになった。
しかも「新しい石川の物語は、“あのラストシーン”から幕を開けます。」と、原案、脚本の金城一紀がコメントを出している。金城は、現在放送中の連ドラ『奥様は、取扱い注意』(日本テレビ)や、4月期に放送された連ドラ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ)や、映画化もされた『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ)など、多くの人気作を手がけている。直木賞も受賞した小説家でもある金城による、深いテーマ性を内包しながら、大きくうねっていくエンターテインメント性の高い脚本は見応えがある。あのラストも、金城だからこそ書けたと思う。
さて、あのシーンからはじまるという新作を前に、『BORDER』の概要をおさらいしておこう。そもそも、第1話『発現』から斬新だった。主人公・石川安吾(小栗旬)が、開始4分で死んでしまうのだ。
「人は必ず死ぬ。そして死は突然やってくる」
これは石川の最初の台詞(モノローグ)で、まさにその通りのことが起こる。刑事である石川が、殺人現場を見てまわっていたところ、犯人らしき人物に撃たれ死亡。その後、蘇生する。
そのとき頭の中に残った銃弾が、脳の未使用な部分を刺激して、死者と会話できるようになった石川は、その能力によって、徐々に人格が変化していく。殺人事件の被害者の霊(?)と会話することで、犯人も事件の顛末がわかるようになったものの、死者では証人にはならない。石川は自力でその証拠を見つけなくてはならない。ときにはわからないままになってしまう真実をすべて知ることによって、石川は絶対的な真実にこだわりはじめ、それを明るみにするためならどんな手も厭わなくなっていく。
当初、倒叙ミステリーの応用編くらいに思っていたこの設定が、次第に主人公を追い詰めていくことにゾクゾクする。
石川が苛まれていくのは、頭に銃弾が入っているから。それを取り除けば、もう地獄を見る(死者の声を聞く)こともなくなるはずだが、手術が難しくなかなかそうもいかない。最終回手前の8話『決断』で銃弾事件も解決し、弾を取り除くことも可能になるが、石川は銃弾をそのままにする。
そして最終回『越境』。