Apr 23, 2019 column

MCU幕開けから「ディズニー+」まで、ビジネス視点でみるMCUの軌跡&成功、今後の展望

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フォックス買収、「ディズニー+」でMCUはさらに拡大

そして今後は、クロスオーバーによる勢いがさらに加速することが明らかだ。前述の2018年世界興収ベスト10の5本のうち、『ヴェノム』と『デッドプール2』は、マーベル作品ではあるがMCUには入っていない。当初のMCUに属していなかったマーベルのヒーローについては、『スパイダーマン』がソニー、『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』『デッドプール』『デアデビル』などはフォックスに配給権がある。しかし2019年、ディズニーによる21世紀フォックスの買収が完了したことで、今後はフォックスの作品はディズニーが配給の指揮をとることになる。さらに製作に関しても、MCUが始まってからはそこに集中していたマーベル・スタジオのトップで、プロデューサーのケヴィン・ファイギが、フォックスのヒーローたちを自由にMCUに登場させることを明言するようになった。

スパイダーマンに関しては、すでに『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のフェイズ3以降に参加しているので、ヴェノムも含めたスパイダーマン関連のキャラクターも、今後、MCUに関わる可能性も高まっている。

DCのヒーロー映画も、『ワンダーウーマン』以降、『アクアマン』の大ヒットに加え、新たに登場した『シャザム!』も好調。2020年にはハーレイ・クインを中心にした新作『Birds of Prey(原題)』や、『ワンダーウーマン』の続編も公開を控え、MCUとは別ベクトルでのユニバースの拡大に期待がかかる。

一方のMCUは、間もなく公開される『アベンジャーズ/エンドゲーム』、さらに、ソニー配給の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でフェイズ3が終了すると、先日行われた上海でのイベントでケヴィン・ファイギがコメント。その次の作品からフェイズ4に突入し、新展開を見せるはずだが、劇場公開とは別のビジネスにも注目が集まりそうだ。

ディズニーのテーマパークでは、カリフォルニアのディズニーランドに2020年、「マーベル・ランド」という大型エリアがオープンする予定。同じく2020年、ディズニーランド・パリにはアベンジャーズのローラーコースターが完成し、やはりマーベル・ランドも作られる。すでに「アイアンマン・エクスペリエンス」で楽しませた香港ディズニーランドは、今年の3月に「アントマン&ワスプ:ナノ・バトル」というアトラクションを開始。さらにマーベルの大型アトラクションが2023年にオープンする予定だ。これによってディズニーのパワーを使ったマーベルのキャラクタービジネスが、さらに活気を呈するのは間違いない。

そしてもうひとつの注目は、今年の11月にアメリカでスタートするディズニーのストリーミング(配信)サービス「ディズニー+(プラス)」。開始初日(11月12日)に『キャプテン・マーベル』が配信されるうえ、MCUのドラマが3作も予定されている。それぞれの主人公が、ロキ、ワンダとビジョン、ファルコンとウィンター・ソルジャーという面々なので、MCUファンには必見の作品となる。ディズニー+は、現在、ストリーミングでトップを走るNetflixに対抗および凌駕する目的があり、それこそが豊富なコンテンツを有するフォックスの買収の最大の理由でもあった。ディズニー+によって、MCUはさらにラインナップを広げる。この相乗効果の勢いは、まだまだ止まりそうにない。

文/斉藤博昭

作品情報
『アベンジャーズ/エンドゲーム』

最凶最悪の敵“サノス”によって、人類の半分が消し去られ、最強チーム“アベンジャーズ”も崩壊してしまった。果たして失われた35億の人々と仲間を取り戻す方法はあるのか? 大逆転へのわずかな希望を信じて再び集結したアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーたちに残されたのは、最強の絆だけ──。“今はここにいない”仲間のために、最後にして最大の逆襲が始まる。
監督:アンソニー&ジョー・ルッソ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ロバート・ダウニーJr.、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、ポール・ラッド、ブリー・ラーソン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
2019年4月26日(金)公開
© 2019 Marvel
公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html