今年のゴールデンウィークは最大9連休と長めのお休み。otocotoでは4月29日から5月6日まで、選りすぐりの人気作・話題作を毎日紹介します。明日のことを考えず、夜更かしが許されるこの機会に話題となっている配信オリジナルの映画、ドラマシリーズを一気見してはいかが？
あの頃、想った明日を描くラブロマンス
1999年に発表され大ヒットした宇多田ヒカルの名曲「First Love」、その19年後に発表された「初恋」。この2つの楽曲にインスパイアされたNetflixシリーズ「First Love 初恋」。
本作は、2022年11月24日に配信が開始され、Netflixの「今日のTV番組TOP10(日本)」で連日1位を獲得、グローバルトップ10のテレビ・非英語部門で3週連続トップ10入りと大ヒットした。そして今再びYouTubeやSNSを中心にインフルエンサーの中で注目されている。
「First Love 初恋」は90年代後半からゼロ年代、そして現在の3つの時代で、離れ離れになった恋人たちの出会いと別れを描く、20年余りに渡る初恋の物語。そう、明日の今頃には、恋焦がれる相手はどこにいて、誰を想っているんだろうを映像化している。
手掛けたのは1982年生まれの寒竹ゆり監督。宇多田ヒカル世代の彼女は、歌詞を反映させながら、初恋の思い出という普遍的なテーマを”あれから”歩んできた時間とリンクさせ、壮大なラブストーリーとして作り上げた。そこには、ただの世代の話では済まされない魅力がある。
本シリーズは、切ない仕掛けがふんだんに盛り込まれている。
主人公である佐藤健演じる並木晴道と満島ひかり演じる野口也英の元カップルがすれ違い、時代を行きつ戻りつするストーリー構成、そして”まさかそんなことに”という運命の巡り合わせ。そういったピースが伏線となり、話が進むにつれ回収されていくので飽きさせない。
佐藤健、満島ひかりの熱演も光るが、高校から大学生時代の晴道と也英を演じた、木戸大聖と八木莉可子の新人2人のフレッシュな魅力がとても眩しい。この2人が演じた幸せに永遠に続くと想っていた青春時代がキラキラと輝くからこそ、現代のすれ違いによる切なさがより強くなる。
また劇中、巧みに使用される宇多田ヒカルの楽曲にも引き込まれる。CDで聴いていた世代もサブスクで初めて聴いた世代もそれは変わらない。90年代J-POPの頂点に君臨していた小室哲哉が引退を考えたように、彼女の楽曲に運命を変えられた人は多いだろう。これは劇中の登場人物たちも同様でストーリーの重要なファクターになっている。きっとあなたもこのドラマシリーズを鑑賞後は「First Love」を口ずさみたくなるはずだ。
本作を観ていると「今はまだ悲しいlove song」感にヤキモキする。また観るものによっては、「ナナ」の矢沢あいflavorを感じる人もいるだろうが、宇多田ヒカルの好きなマンガが「ぼくの地球を守って」であることを知っているとより感慨深い。
衣装、小道具に至るまで画面を構築する色彩センスとその映像美。主人公2人を取り巻く登場人物のキャラクターとその演技など、このドラマの魅力を挙げたらキリがない。このドラマが全世代的に支持される最たる理由は、誰もが経験した、またはこれから経験する特別ではない出来事に、こんな未来があったかもしれないと思わせるところだと考える。
人には叶わなかった夢、恋がある。それを経て現在を生きている。いつか誰かとまた恋に落ちたとき、初恋の相手を今でも想っているのだろうか？「Firar Love」の歌詞にはその恋の終わりが描かれていない。ドラマの最終話は一体どうなるのか。本作は恋愛ドラマが苦手という人にこそぜひ観てほしい。
1999年に発表され大ヒットした宇多田ヒカルの珠玉の名曲「First Love」、その19年後に発表された「初恋」。この2つの楽曲にインスパイアされ、新しいストーリーを紡ぎ出す。90年代後半と、ゼロ年代、そして現在の3つの時代が交錯し、 20年余りに渡る忘れられない“初恋”の記憶をたどる一組の男女の物語。
監督・脚本：寒竹ゆり
原案・企画・製作：Netflix
出演：満島ひかり、佐藤健、八木莉可子、木戸大聖、夏帆、美波、中尾明慶、荒木飛羽、アオイヤマダ、濱田岳、向井理、井浦新、小泉今日子
Inspired by songs written and composed by Hikaru Utada / 宇多田ヒカル
Netflixにて全世界独占配信中
