コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第45回
『ReLIFE リライフ』の完成披露試写会舞台挨拶が3月8日、丸の内ピカデリー1で行われた。 舞台挨拶には、古澤健監督、出演の中川大志、平祐奈、千葉雄大、池田エライザ、岡崎紗絵が登壇した。
本作は、27歳のニートがひょんなことから、17歳の高校生として人生をやり直す姿を描いた青春ラブストーリー。
主人公【海崎新太】役を中川大志が、ヒロイン【日代千鶴】役を平祐奈がそれぞれ務めているが、2人は同い年で、平によると13歳の時から毎年共演しているらしい。 そして、2人とも、先日高校を卒業したばかりである。
舞台挨拶の中で中川は「もう高校を卒業したので、この映画が学生として演じた最後の作品となりました」と、感慨深い表情を浮かべていた。
これまでは、“現役の高校生を演じられる”ということを武器に活躍してきた中川だが、今回は27歳の男性を演じることになった。その役作りの手本となったのが、実年齡が27歳(3月9日で28歳に)の共演者、千葉雄大であった。
しかしながら、中川にとって、あまりにも若々しく、27歳には到底見えない千葉の容姿は、何の参考にもならなかったようだ。
千葉自身も「僕は年下の人から愛されがちで、悪く言うとナメられてるので、威厳が欲しいです」と、強く訴えていた。
千葉は、その愛くるしいルックスと、女性以上の女性らしさを武器に、モデルとして、そして役者として大活躍し、世の女性たちを虜にしている。 また、女性を温かく癒す男性、通称「ヌクメン」の代表格としてチヤホヤされているが、当の本人はというと、そんなことは意に介さず、淡々と流している様子が窺える。実際のところ、内面は物凄く男っぽい千葉なのである。 そこら辺が、女性を魅了する一つの大きな魅力となっているのかもしれない。
だが、本人の意思に反し、そのルックスのせいで周りからは軽く見られ、男としての重さが感じられないことに頭を抱えていた。 今年で28歳になった千葉にとって、「威厳が欲しい」と口にしたのは、場を盛り上げるための単なる表現ではなく、切実な悩みの告白だったに違いない。
整形手術でもしない限り、顔の作りは変えられない。ただ、役者としても、人間としても、これからもっともっと色々な経験を積むことで、渋みと深みを感じさせる、そんな“顔”を持った千葉雄大へと変貌を遂げることができるかもしれない。
ちなみに、舞台挨拶に同席した、本作の古澤健監督も「今年で44歳になるんですが、なかなかそう見られないので、千葉君と同じく威厳が欲しいです。子どもっぽさから卒業したい!」と、こちらも千葉以上に切実な悩みを告白していたのだった。
映画『ReLIFE リライフ』
映画『ReLIFE リライフ』(松竹配給)は、漫画アプリ「comico」で連載され、TVアニメなどでも人気を博した、夜宵草による同名漫画を実写映画化した青春ラブストーリー。