1993年に公開され、全世界で大ヒットを記録したスティーヴン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』。琥珀の中に閉じこめられた蚊から恐竜の血液を抽出、遺伝子技術により恐竜を生み出し、恐竜のテーマパーク(島)を作ってしまうというアドベンチャー大作は、その後、シリーズ化され、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(公開:1997年)、『ジュラシック・パークⅢ』(公開:2001年)と製作されました。
そして2015年、新シリーズのパート1となる『ジュラシック・ワールド』が公開。パート2の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(公開:2018年)以降の物語である『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は、シリーズ最終章として『ジュラシック・パーク』に登場した3人の博士と、『ジュラシック・ワールド』の主人公【オーウェン】と【クレア】が力を合わせ、恐竜と人間が共存する世界の未来の為に戦う物語です。今回は、最新作で【オーウェン】(玉木宏)のパートナーである【クレア】の吹き替えを続投した木村佳乃さんにお話を伺います。
―― 本作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』を観た時の感想を教えて下さい。
やっぱりハリウッド超大作ですよね。飽きさせないし、もの凄く派手なCGでもの凄く壮大な映像と共に内容が深い。飽きさせないハリウッド超大作、凄いと思いました。
―― 登場する恐竜も親子ですし、今回は【クレア】も母性を持って行動しますね。
そうなんです。【クレア】と【オーウェン】の関係性も凄く面白いですよね。破局したところから始まるんですから。【クレア】は人として随分と成長したんです。最初の頃は「恐竜はビジネスだ」と言っていたのが段々と変わってきて、最終章のこの作品では、【メイジー】との暮らしで、母性を持つようになるんです。母親としての感情が芽生えるんです。
そう考えると、こんなにも長い間、作品に関わらせて頂いて、見守らせてもらったのは、初めてのことでしたので、『ジュラシック・ワールド』が完結なんだと思うと、特別の想いはありますね。
―― 公開直前に来日した【クレア】役のブライス・ダラス・ハワードが「木村佳乃さんが吹替えを担当してくれたことは 私にとって大切なことです。今でも心は一緒に居ます」とお話されていました。彼女にはどんな印象をお持ちですか。
本当に再会したかったです。以前の来日時にはお会いしているんですが、残念です。わざわざ遠路はるばる来て下さって、ご挨拶をしたかったんです!とにかくそうやって私を覚えていて下さっていることが嬉しいですよね。私は彼女より何気に年上なんです(笑)。
彼女を最初に観たのは『ヴィレッジ』(公開:2004年)なんです。彼女は色んな役を演じられる女優さんなんですが、『ヴィレッジ』ではちょっと怖い役を演じているんです。目がもの凄く綺麗なグリーンで赤毛、存在感があって凄く印象に残る女優さんです。
―― アフレコはとても難しいと思いますが、どんなところが一番難しいのですか。
『ジュラシック・ワールド』シリーズの場合は、逃げるシーンや驚いて叫ぶシーン、大きな声を出すシーンがかなりあるので体を使って出す声が多いんです。だから相当、体と喉を温めておかないと声を潰しかけてしまうんです。最初の『ジュラシック・ワールド』(公開:2015年)の収録の時は、そのことがよくわかっていなかったので、何も考えずに「ギャーギャー」と声を出してしまって、最後の方では声がかすれてしまったんです。その経験があったのでそれからは、なるべくそうならないように事前に気を付けて挑んでいます。
それと体を実際に動かしながら演技をする俳優の仕事と違い、声優の仕事は止まった状態で声を吹き込むので、やはり叫ぶシーンが多いと本当に難しいなと思います。あとは、ディレクターさんが現場には居るので言うことをよく聞いて、なるべくその通りにやろうと心がけています。
―― 今回の映画で好きなシーンはどこですか。
【クレア】的には、やっぱり墜落しそうな飛行機から座席ごとピューって飛んでいくところ(笑)。パラシュートが木に引っかかったり、大型の肉食恐竜に見つからないようにその後に泥沼に入ったりとか、ブライス・ダラス・ハワードさんは、大変だったと思います。今回は今まで以上にアクションシーンが多いんです。実際に飛行機から飛び出したら、その後、恐竜にパラシュートを突っ突かれてとか、演技も大変ですよね。本当だったらかなり怖いシーンです。