7月3日からNetflixで配信開始された『呪怨:呪いの家』(全6話)がこわ過ぎる。時代設定が今でなく1988年から1997年にかけての話だからまだ救われるものの、これが今の時代設定だったらちょっとやば過ぎたと思う。
もっともこれだけデジタル化された時代ではホラーは成立せず、昭和から平成にかけて時代が大きく変わっていく過渡期こそジャパニーズホラーにふさわしい場なのであろう 。
1988年、心霊研究家・小田島(荒川良々)はオカルト番組に出演、ゲストの新人タレント本庄はるか(黒島結菜)の体験した怪奇現象の相談に乗る。それにはとある一軒家が関わっていた。同じ頃、聖美(里々佳)は転校先の高校で、女生徒ふたりに誘われ、猫のいる空き家探検に向かい、そこでおぞましき体験をする。それがもとで聖美の人生は大きく変貌していく……。
小田島とはるかは6年経過してもなお怪奇現象を追っていて、ようやく一軒家をつきとめるが、そこにはある夫婦が暮らしていた。 一見、なんの変哲もない平凡な庭付きの2階建ての家。怪しい事件が起こっているにもかかわらず、その家に住む人々は後を絶たない。そしてその家に関わった人たちに次々と災難がふりかかる。
2階の部屋の押入れ、そして天上には何があるのか。この家に最初に起こった事件は何だったのか。小田島のような心霊研究家や、霊感をもった人物が出てくるので、怪奇現象の原因が探られ解決されることを期待して見ているとことごとくはぐらかされ、登場人物がなんの脈絡もなくふいに犠牲になっていく。家に近づかないのが一番と言ったら身も蓋もないが、謎の力が家に人を吸い寄せていくのである 。
プロデューサー・一瀬隆重、脚本家・高橋洋は『リング』『らせん』『呪怨』と90年代に大ブームを起こしたジャパニーズホラーの立役者で、こわがらせるツボを心得ている。こわい空気感、驚かせるタイミング、すべてがパーフェクト。来る来る、キター!という待ってました感と、え!? という意外性の挿入の仕方が職人芸で、何度乗っても楽しいアトラクションみたいなのだ。
あまりにもサービス精神が行き届いているため、 過去、『リング』の貞子、『呪怨』の俊雄などのようにキャラクター化されてしまうこともあった。それが圧倒的人気のバロメーターであり、そもそもこわさと笑いは紙一重ともいうが、笑いになりすぎても本末転倒になってしまう。