コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第206回
女優の井上真央が、4月9日にニッショーホールで行われた、映画『焼肉ドラゴン』の完成披露試写会舞台挨拶に登壇した。
高度経済成長と大阪万博に沸く1970年代を背景に、関西の地方都市にある小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を舞台に家族の絆を描いた本作で、3姉妹の次女【梨花】を演じた井上。
梨花は、喧嘩っ早く喜怒哀楽が激しい女性で、大泉洋扮する夫の【哲男】に対してもすぐにカッとなる場面があるようで、「クランクインした日の撮影が、大泉さんに罵声を浴びせながら一緒に自転車に乗って坂を下っていくシーンだったんですが、大泉さんは自転車の運転がとにかく下手で、お尻もガンガン打つし本当に痛かったです。だから、(大泉に対して)自然と怒りが湧いてました(笑)」と、大泉に鋭角な言葉を投げ付けると、「つい先日、娘に自転車の乗り方を教えたばかりなんだよ! あなたの“またがり方”がおかしいんだ!」と激しく反発する大泉。さらに、鄭義信監督に対しても「ガッタンガッタンするような悪い道で、狭いのにニワトリもいたりして、そんなところで運転するなんて難しいんだよ! 下手クソって言われたくないわ!!」と怒りを表明する大泉だった。
また、4月を迎え新生活が始まった方々へ向けて、『明日を前向きに生きる秘訣』について尋ねられた井上は、フリップで[今日の自分に負けないコト。]と発表し、「明日は今日の自分が作り出すものだからです」とバッチリ決めると、大泉が満を持して発表した[今日一日をボヤいて寝る。]という言葉に対しては、「現場でも常にボヤいてましたよね。だからすごく納得です。それが活力だったんですね」と口にする井上だった。
一方、3姉妹の長女【静花】を演じた真木よう子は、関西弁のイントネーションが難しかったようで「“万博”の言い方が難しくて、ハマっちゃいました。20テイクくらいやりましたよね?(笑)」と笑顔で振り返ると、「真木さんは素直じゃないんですよ。方言指導の方に大体キレてましたね。『私は出来てる』って言って」と、すかさず指摘する大泉。
しかし、大泉の方も初めて挑んだ関西弁に関しては、いつもの北海道弁とは勝手が違ったらしく「話してみると難しくて、ものすごく大変でしたね」と、苦労を吐露していた。
舞台挨拶にはその他、鄭義信監督、出演の桜庭ななみが登壇した。
映画『焼肉ドラゴン』(KADOKAWA/ファントム・フィルム配給)
映画『焼肉ドラゴン』(KADOKAWA/ファントム・フィルム配給)は、脚本家としても活躍する劇作家・演出家の鄭義信が、高度経済成長と大阪万博に沸く1970年代を背景に、関西の地方都市にある小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を舞台にした自身の人気戯曲を、初メガホンで映画化した作品。
監督・脚本:鄭義信 出演:真木よう子、井上真央、大泉洋、桜庭ななみ、大谷亮平、ハン・ドンギュ、イム・ヒチョル、宇野祥平、根岸季衣、イ・ジョンウン、キム・サンホ ほか