Feb 16, 2018 interview

【ヒュー・ジャックマンに聞く】アクションとミュージカルの共通点、そして娘との意外なエピソード

A A
SHARE

 

ウルヴァリン役などでアクションスターとしても人気のヒュー・ジャックマンだが、彼のもう一つの魅力は、歌って踊れるエンターテイナーとしての一面。そんな持ち味が100%発揮された最新主演作が『グレイテスト・ショーマン』だ。サーカスの起源を作ったといわれる伝説の興行主、P.T.バーナムの人生を描いた今作。あの大ヒット作『レ・ミゼラブル』に続くミュージカル映画への挑戦や、バーナムと自身の関係、そして家族の意外なエピソードなどを、来日したヒューに聞いた。

 

「作れる可能性は20%くらいだと思った」――映画化実現までの道のり

 

──この『グレイテスト・ショーマン』の企画が始まったのは、あなたがホストを務めた2009年のアカデミー賞授賞式の頃だそうですね。

当時、僕の制作会社があって、常にいろんな企画が持ち込まれていた。「イエス」と応じる作品は、だいたい10本に1本。そしてイエスの作品から、さらに映画化されるとなると、やはり10本に1本くらいの割合だったよ。あるプロデューサーが「君はウルヴァリン役で有名になったけど、舞台ではミュージカルをいっぱいやってるよね。アカデミー賞授賞式で素晴らしいパフォーマンスを披露したのだから、P.T.バーナムの物語でぜひミュージカルをやってみないか」と打診された。その時は「いいね」と軽く答えたけど、作れる可能性は20%くらいだと思ったよ。

 

 

──その20%が、どうして100%になったのですか?

プロデューサーが、20世紀フォックスに話を持って行ったら「とりあえず脚本を書いてみてくれ」と話が進んだ。その結果、第一稿の脚本が、結構うまく仕上がったので、さらに「これはミュージカルだから、音楽も必要だよね」って、話がどんどん進んでいったんだ。ちょうどその頃、僕はコマーシャルの仕事をしていて、その演出家が気に入った。コマーシャルやミュージック・ビデオで活躍していた、マイケル・グレイシーという男だ。酔っぱらった席だったけど、彼に「一緒に映画をやらない?」と尋ねてみた。そうしたら「15年間、この仕事を続けて、毎回そういう軽い誘いは受けてる。聞き飽きたよ。ジョージ・クルーニーから仕事の誘いを受けて、有頂天になって母親に電話したことがあったけど、結局、口約束だったからね」と、あっさり断られたんだ(笑)。

──そこで、あなたは本気であると伝えたのですね。

脚本を送ったのさ。それで彼も僕の本気を知り、「ごめん、ごめん」って謝られた(笑)。その後、マイケルが今回の音楽チームである(その後、『ラ・ラ・ランド』の曲も手がけた)ベンジ・パセックとジャスティン・ポールを発見して、音楽やキャラクター、衣装のイメージを45分間のプレゼンでまとめ、スタジオ側に披露した。そのプレゼンが何度も繰り返されて、映画化が決まったんだよ。

 

「永遠だ」と励まし合ったハードなダンスシーンを述懐。振付のアイデアには娘からダメ出し?!

 

 

──歌唱力は『レ・ミゼラブル』で証明していましたが、今回はダイナミックなダンスでも魅了します。撮影はハードだったのでは?

4分のダンスナンバーに対し、撮影期間は3日間くらい。アクション映画の場合、見せ場となるシーンだったら、4分間に対して2週間くらいかける。だから結構ハードだったよ。僕らは10週間くらいのリハーサルで、この4分の振付を完璧に覚えるわけさ。本番では、撮り始めて10時間くらい経っても、監督や振付家が「次のカットが使われるかも。そうなったら映像で永遠に残るよ」とハッパをかけてくる。こっちはみんなで、「永遠だ、永遠だ」って励まし合いながら踊り続ける。一日で12時間も踊るとクタクタになるけど、達成感は得られたね。

──振付にはあなたのアイデアも入っているのですか?

いや、一切、僕のアイデアは入っていない。これだけは断言できるよ。確かに僕も「こんな動きはどう?」なんてアイデアは出した。でも(振付の)アシュレー・ウォーレンはその度に「いや、それは使えない」と断るんだ。それを見ていた僕の娘も「アシュレーの言う通りに踊って。絶対に自分のスタイルを出しちゃダメ」と忠告してくれた。僕のセンスは、そんなに悪いのかな(笑)?

──もしかして、お嬢さんの方がダンスが上手いのですか?

僕の10倍くらい上手だよ(笑)。『グレイテスト・ショーマン』の振付を、あるパーティで僕と娘で踊ることになったんだけど、僕が6週間かかって覚えた振付を、彼女はたった2時間で覚えちゃったんだよ!それは2年前の話だけど、彼女は今でも振付を覚えてる。僕は9カ月間、踊り続けていたのに、もうすっかり忘れてしまったよ。若さの違いだね(笑)。

 

 

──若さといえば、若いキャストとの共演はいかがでしたか?

実は恥ずかしながら、一緒に仕事をするまでゼンデイヤのことを知らなかった。彼女と共演することを娘に言ったら、「マジで?!信じられない!」って大興奮したので、その人気に驚いたんだ。実際に共演したら、ゼンデイヤは演技も、素顔も本当に素晴らしかった。あの世代のトップスターであることが納得できたよ。