コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第114回
俳優の窪塚洋介が、7月15日にテアトル新宿で行われた、映画『アリーキャット』の初日舞台挨拶に登壇した。
主人公の【朝秀晃(マル)】役を務めた窪塚は「2年前の1月の極寒の中で撮影したので、スゴい過酷だったんですけど、マルとリリィの熱さを現場のみんなに盛り上げてもらいました」と振り返ると、そのリリィこと【梅津郁巳】役を務めた降谷建志に対しては「Kj(降谷)は今ツアー中で、Dragon Ashに戻ってるんですけど、俺のことを未だに『マル、マル』って呼んでくれてるんです。役者は映画が終わったら次の役で次の人生を生きるので、1~2年経ってから役名で呼ばれるとドキッとさせられますね。KjはDragon Ashとして、これからもこの映画を背負って前に進んでいくんだなと思うと、それだけでこの映画の価値が上がるし、意味が深まるなと思います」と、不在の降谷へ熱い想いを語っていた。
そんな降谷の穴を何とか埋めようとしていたのが、【玉木敏郎】役の品川祐で、会場を盛り上げようと張り切っていたのだが、【土屋冴子】役の市川由衣から「クランクインして最初の撮影が、品川さんと“動画を撮る”シーンだったんですけど、スゴい酒臭かったんですよね(笑)」と文句が。「動画(撮影)だけだったし、気ぃ抜いちゃって(笑)」と弁明する品川に対し、「最低ですね」と、小さくつぶやいていた窪塚だった。
しかし、品川にもイイところがあったようで、市川は「手作りの汁物を作ってきて、現場に差し入れしてくださったりとか、本当に優しかったです」と、品川の好感度が上がるエピソードを。それに関しては窪塚も「21年、役者をやってますが、手作りであんなにデカい鍋で鶏汁を持ってきてくれた人は初めてでした。現場がスゴい温まりましたし、みんなの心も、映画の温度も純度も高まりました」と、感謝の言葉を口にしていた。
ただ、品川によると、タクシーで降りるブロックを間違えたそうで、「デカい鍋を持ってフラフラしながら結構歩いたんですよ。“品川、ついに頭がおかしくなったんじゃないか”って思われていたと思います(笑)」と照れ笑いを浮かべ、観客を笑わせていたのであった。
舞台挨拶にはその他、榊英雄監督、出演の高川裕也、岡本拓真、川瀬陽太が登壇した。
映画『アリーキャット』(アークエンタテインメント配給)
映画『アリーキャット』(アークエンタテインメント配給)は、孤独な元ボクサーが、ひょんなことからバディを組んだ男と一緒に、ある女を守るため奮闘する姿を描いたクライム・ドラマ。
監督:榊英雄 脚本:清水匡 出演:窪塚洋介、降谷建志、市川由衣、品川祐、柳英里紗、川瀬陽太、森岡豊、馬場良馬、岡本拓真、森本のぶ、三浦誠己、高川裕也、火野正平 ほか