コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第88回
小林立による人気麻雀コミックを実写化した『咲 -Saki-』(主演:浜辺美波)では、実力派雀士【加治木ゆみ】を演じ、今度は麻雀女流プロの二階堂亜樹による自伝的コミックを実写化した作品で、主人公の雀士【二階堂亜樹】を演じた、女優の岡本夏美が、6月3日にシネマート新宿で行われた、映画『女流闘牌伝 aki -アキ-』の初日舞台挨拶に登壇した。
麻雀映画に連続出演となったが、今回の『aki』で長編映画初主演を果たした岡本は「公開日を待ちわびていたので、こうして多くの方に足を運んで頂けてとても嬉しいです。亜樹さんが壮絶な人生を歩まれているので、それと真摯に向き合いお芝居できたらと思ってました」と、初日の喜びとともに主演としての自覚ものぞかせていた。
役作りについては「プロの方に近づくのは難しいですが、いかに上手く見えるかを研究しました」と明かし、「ひまわりさんは牌を触りながらセリフを言わなければならなかったので難易度が高く、凄いなぁって尊敬してました」と称えていた。
そのひまわりさんこと【面影ひまわり】を演じた、元AKB48の増田有華は、岡本について「夏美ちゃんとは初めてで、撮影も3日間しかなかったんですが、もう長年の知り合いみたいな感じでしたね」と、仲の良さをアピールするも、「でも、最初の顔合わせの時、私のことちょっと怖がってたよね?」とチクリ。「ひまわりさんみたいな強い役を誰がやるんだろうって思ってたんです。実際に会ったら関西弁だし、目ヂカラ強いし(笑)」と、笑顔の中にも怯えた表情を見せていた岡本だった。
また、この日は、原作者の二階堂亜樹も登壇。「今日も対局を終えてから来ました」と、照れ笑いを浮かべると、自身を演じた岡本について「スタジオに見学に行くと、岡本さんはスッピンだったと思うんですけど、細くて、目もキラキラさせてました。主演の岡本夏美ですと紹介された時は、こんなに可愛い子が自分の役をやってくれるのかと嬉しく思いました」と喜んでいた。
さらに、『覚悟を決めた瞬間』について尋ねられた登壇者たち。
増田は「人生において何度かありましたね。14歳の時に、AKB48の2期生オーディションに合格して、その3日後には上京していたんですが、母が応募していたので、特にアイドルになりたいってわけじゃなかったんですけど、フリフリの衣装を着た瞬間にアイドルとして生きていくことを決意しました」と語るも、11年経った今ではその気持ちが崩れてきていることを嘆いていた。
同じく、二階堂は「家庭環境に恵まれてなかったので、中学を卒業する頃には両親がおらず、実家からも出てくださいと言われ、姉にもほとんど会っていなかったので、その時に一人で生きていかなければという覚悟を決めました」と壮絶な人生を振り返ると、それに関し岡本は「そこは演じる上でも大切なポイントでした」と真摯に語っていた。
その岡本はというと「3月に高校を卒業したんですが、芸能界一本でいくのか、進学するのか、まさに分岐点でした。芸能界一本でいくと決めたわけですけど、今までの芸能生活では、併せて学業もやっていたので、それがなくなるとどうなっちゃうんだろうという不安はありましたが、頑張っていこうと決意しました」と、女優としてさらなる高みを目指すことを誓っていた。
舞台挨拶にはその他、出演の中山絵梨奈、中村祐太郎監督も登壇した。
映画『女流闘牌伝 aki -アキ-』(AMGエンタテインメント配給)
映画『女流闘牌伝 aki -アキ-』(AMGエンタテインメント配給)は、麻雀女流プロの二階堂亜樹が原案を担当した、自伝的コミック「aki」を実写映画化した作品。