映画『ゆきてかへらぬ』の主題歌が、キタニタツヤによる書き下ろし楽曲「ユーモア」に決まったことが発表され、あわせて本作の本予告映像と本ビジュアルが公開された。
本作は「文化の百花繚乱」が咲き誇る大正時代を舞台に、実在した男女3人の壮絶な愛と青春を描く。脚本は『ツィゴイネルワイゼン』や『セーラー服と機関銃』の田中陽造が40年以上前に書いたもので、多くの監督たちが映画化を熱望しながら長い間実現することができなかった。そんな脚本に「滅多にない優れたシナリオ」と惚れ込んだ根岸吉太郎監督が、16年ぶりにメガホンをとり、美しい時代を火花散らすように駆ける3人の男女を広瀬すず、木戸大聖、そして岡田将生が演じる。
また主題歌は長編映画の主題歌を担当するのは初となる新進気鋭のシンガーソングライター・キタニタツヤが本作のために書き下ろした新曲「ユーモア」に決定。中原中也の文学に陶酔していたというキタニが愛とリスペクトをこめて制作した楽曲となっており、今回解禁された本予告編でもその一部が初披露されている。
主題歌を聞いた広瀬は「主題歌が始まった瞬間は映画の余韻が残りつつ、後半は違う世界観でちょっと面白いバランス感の楽曲で素敵だなと思いました。」、木戸は「3人のキャラクターのどの人を歌詞の主人公においたとしても当てはまるような、すごく切なさもあり、ずっと聴いていられる、何回もリピートして聴いていられるような素敵な曲でした。」、岡田は「心地よいリズムで歌詞もすっと入ってきますし、改めて歌詞を見て聴くのと、また理解を深めてからこの曲を聴くのでは(印象が)変わるので、聞くときは歌詞を読んでみてから聞いてもらったら嬉しいなと思います」とコメントを寄せた。
▼キタニタツヤ コメント
詩を書くということは、意味なくただそこにあるだけの現実をあえてユーモラスに捉えて解釈し、言葉というフォーマットで出力しなおす営みだと思っています。単に「面白おかしく」という意味ではなく、ありていでない眼差しを向けることによって現実に隙を見出す、何らかの安らぎの余地を加えるという意味でのユーモア。加えて、人は永遠ではあり得ないのに反して言葉は永遠になり得ます。残された言葉は他者の心を撫で続ける。現代に生きる私はそういうふうに中原中也の詩に触れてきましたし、泰子もそうだったのかもしれません。「ゆきてかへらぬ」ラストシーンでの泰子と小林にとって中也の詩はどう響いていたんだろう。また劇場を後にする私たちにとって「ゆきてかへらぬ」という映画そのものはどう響いていくのだろう。そうしたことを考えながら歌を作りました。
映画『ゆきてかへらぬ』 は、2025年2月21日(金) 全国公開。
京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子は、まだ学生だった中原中也と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。東京。泰子と中也が引っ越した家を、小林秀雄がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も批評の達人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターたちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める批評家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係がはじまる。重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。
監督:根岸吉太郎
脚本:田中陽造
主演:広瀬すず、木戸大聖、岡田将生
配給:キノフィルムズ
©︎2025 映画「ゆきてかへらぬ」製作委員会
2025年2月21日(金) 全国公開
公式サイト yukitekaheranu