「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」などで知られる作家・佐藤泰志が、函館ではなく関東近郊を舞台に描いた短編小説「夜、鳥たちが啼く」(所収「⼤きなハードルと小さなハードル」河出文庫刊)を映画化。脚本は同2作を手掛けた高田亮、そして、高田の助監督時代からの盟友であり、近年『アルプススタンドのはしの方』『愛なのに』『女子高生に殺されたい』『ビリーバーズ』などジャンルを問わず話題作を生み出し続け、高い評価を得る鬼才・城定秀夫が監督を務める。
この度、WEB限定特別予告映像が公開された。
主人公・慎一を山田裕貴、ヒロイン・裕子を松本まりか が演じ、その他、中村ゆりか、カトウシンスケ、森優理斗、藤田朋子、宇野祥平、吉田浩太、縄田カノン、加治将樹ら、魅力的な俳優陣が物語を彩っている。
WEB限定特別予告映像では、一方は母屋で、一方は離れのプレハブで暮らすという、いびつな「半同居」生活を続ける中で、次第に惹かれ合っていく慎一と裕子の2人を映し出す。
映像冒頭では、「新しい彼女とか作んないの?」と問いかけた裕子に対し、「どうでもいい」とぶっきらぼうに答える慎一の姿が映し出されるが、慎一はその投げやりな言葉とは裏腹に、優しく裕子を包み込み、2人見つめ合う濃厚な時間が流れていく‥‥。あいまいな距離感を保つことを望みながら、埋めがたい孤独と傷を抱えた2人が、自然にお互いを求め合うようになっていく姿が描きだされ、美しく繊細な世界観と大人の色気が溢れる。
映像内では、プレハブで笑い合いながら飲み明かす2人の姿や、濃厚な一夜が明け、他愛もない会話を交わすふとした瞬間、裕子の一人息子であるアキラも交え、まるで本物の家族ように海水浴を楽しむ様子など、慎一と裕子の様々な表情が切り取られていく。
その中では「俺は、ちゃんとしてないから」「ずるいよね、もう男に振り回されたくないって思ってたのに」と慎一と裕子、それぞれの意味深なセリフが綴られていき、お互いに寄り添いながらも、どこか距離を感じさせる複雑な心情を抱えていることが読み取れる。傷ついてきた過去を抱え、他者との深い関わりを避けてきた慎一と裕子が、もがきながらも一歩踏み出すことを決めた時、2人が見出した答えとは‥‥?
先日行われた完成披露舞台挨拶では、本作で5度目となった互いの共演について、「これまでの共演があったからこそできた空気感になったと思います。初めましての女優さんではできなかったと思うので、恵まれた作品になりました」と松本への絶大な信頼を明かした山田。
それに対し松本も「相手役が山田さんだと聞いた時、これは面白くなるな!と思いました。こういう作品のこういう役を演じる山田さんは初めて。人間力が凄まじい方なので、この生命体から何が出てくるんだろう、とすごいワクワクしたんです。」と語り、相手役が山田だったからこその無限の可能性を感じていたそう。お互いにとって、運命的とも言える特別な共演となった作品だったことを明かしている。