Feb 01, 2022 news

ドキュメンタリー映画『国境の夜想曲』ジャンフランコ監督と濱口竜介監督対談動画が公開

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『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』と『海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜』でベルリン、ヴェネチアを2作連続でドキュメンタリー映画で初めて制した名匠ジャンフランコ・ロージ監督最新作、映画『国境の夜想曲』。ジャンフランコ・ロージ監督が3年以上の歳月をかけて、イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯で撮影した本作。ここでは2001年の9.11アメリカ同時多発テロ、2010年のアラブの春に端を発し、最近ではアメリカのアフガニスタンからの撤退と、今に至るまで侵略、圧政、テロリズムにより、数多くの人々が犠牲になっている。

ドキュメンタリー映画『国境の夜想曲』ジャンフランコ監督と濱口竜介監督対談動画が公開

本作のジャンフランコ・ロージ監督と、現在進行形で全米の映画賞を席巻し続けている『ドライブ・マイ・カー』とベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得した『偶然と想像』がどちらも大ヒット上映中の濱口竜介監督とのスペシャルな対談動画が公開された。

昨年のベルリン国際映画祭では、審査員を務めたロージ監督から「濱口の言葉は物質であり、音楽であり、素材なのです」と称賛の言葉を受け取った濱口監督。ロージ監督は前作『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』がベルリン国際映画祭で最高賞にあたる金熊賞を受賞、濱口監督はまもなく開幕するベルリン国際映画祭コンペティション部門の審査員を務めるなど深い縁で結ばれたふたり。予定していた対談時間は30分だったが、あまりの熱さに90分に及んだ熱い対談となったそう。


濱口竜介監督とジャンフランコ・ロージ監督の対談内容(一部抜粋)

濱口監督 『国境の夜想曲』を拝見し、私自身もドキュメンタリーを撮った経験がありますし、映画を作り続けている人間として、素直に驚きました。一番驚くべきことは、おそらく普段であれば明らかにしないような部分まで被写体が明らかにしていることです。被写体とどのようにして信頼関係を構築したのか教えてください。

ロージ監督 まず私の映画は人がいて、その人が時間・尺を決め、場所と出会うことで成り立ちます。絶対的な何かが起きた場所には密度があり、そこで出会った人々は物語を動かします。その場所と個人の密接な繋がりに私は心を寄せていきます映画作りにおいて私が一番投資しているものは“時間”です。最初に長い期間かけてカメラを持たずに中東に身を置き、人との出会いを待ちました。

濱口監督 近道はなく、これだけのことをしなければ、あの映像をカメラに収めることはできないのですね。一方で3年かけて撮った映像素材を編集することは、気が遠くなるような苦労があるのではないでしょうか。

ロージ監督 撮ったのは80時間くらいなのでそこまで膨大ではありません。『国境の夜想曲』には6~7の違う物語がありますが、すべて赤い糸で繋がっています。編集には5ヶ月かかりました。他の作品は1ヶ月ほどですが、これだけかかったのは、引き算、情報を減らす時間がかかったからです。

濱口監督 事前の観察という準備、撮影時の待機の時間、引き算による編集、そのすべてがそれぞれ繋がっているんですね。インタビューで、「自分自身は単なるドキュメンタリーを撮っているのではなく、映画そのものを撮っている」とおっしゃっていました。ロージ監督が見て育ってきたイタリア映画についてお話し頂けますか?

ロージ監督 長編を自分で撮るならば、ロッセリーニ、(ヴィトリオ・)デ・シーカ、カサヴェテスがまさに私の師、リファレンスになると思います。「リアリティを変換する」にはやはりメソッドが必要です。ロッセリーニ、デ・シーカ、カサヴェテスそして小津はそれに長けた監督です。また、カメラを置く場所には責任を伴い、美的責任を負います。距離感がそのままストーリーに反映され、真実がそこに宿るのです。この作品では新たな映画言語を作り出すことに挑戦しました。

濱口監督 私もカサヴェテス、小津、ロッセリーニが大好きです。ロージ監督が一作ごとに新たに映画言語を発見しているというは本当にその通りだと思いました。『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』も素晴らしい映画でしたけれども、『国境の夜想曲』も見直すたびに新たな発見があり、世界の広がりを感じます。

映画『国境の夜想曲』は、2022年2月11日(金・祝)より全国公開。

作品情報
ドキュメンタリー映画『国境の夜想曲』ジャンフランコ監督と濱口竜介監督対談動画が公開
映画『国境の夜想曲』

3年以上の歳月をかけて、イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯で撮影された。この地域は2001年の9.11米同時多発テロ、2010年のアラブの春に端を発し、直近ではアメリカのアフガニスタンからの撤退と、現在と地続きで、侵略、圧政、テロリズムにより、数多くの人々が犠牲になっている。そんな幾多の痛みに満ちた場所をロージ監督は通訳を伴わずにひとり旅をし、そこに残された母親や子供、若者の声に耳を傾け続ける。母親たちの死を悼む哀悼歌、癒えることのない痛みを抱えた子供たち、精神病院の患者たちによる政治の無意味さについての演劇。そこには夜の暗闇から、一条の希望を見出し生きようとする者達の姿があった。

監督・撮影・音響:ジャンフランコ・ロージ

配給:ビターズ・エンド

©︎ 21 UNO FILM / STEMAL ENTERTAINMENT / LES FILMS D’ICI / ARTE FRANCE CINÉMA / Notturno NATION FILMS GмвH / MIZZI STOCK ENTERTAINMENT GвR

2022年2月11日(金・祝) 全国公開

公式サイト bitters.co.jp/yasokyoku