Oct 25, 2024 news

【独占】ニッポン生まれフィリピン育ち 逆輸入特撮映画『ボルテスV レガシー』ヒットの裏側に迫る監督インタビュー “レガシー”に込められた愛 

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1977 年に放送された日本のテレビアニメ「超電磁マシーン ボルテスV」が、約半世紀の時を経てフィリピンで実写化。地球を防衛する若者たちと宇宙人たちの攻防を描いたアニメが、生まれ故郷・日本への凱旋した映画『ボルテスV レガシー』が、ただいま大ヒット上映中だ。

公開初週の週末観客動員数でTOP10 入りを果たし、SNSでは「フィリピンの方々の溢れる原作愛に脱帽」、「長浜作品の来る!と判る泣きを押さえてて懐かしさと新鮮味を楽しめた」、「そのリスペクト具合に凄い泣かされるし観たかったものは確実に観せてもらった!!︎」とファンより熱い感想が寄せられている。

フィリピンでなぜ日本のロボットアニメが、熱烈な支持を受け実写化に至ったか?は、掲載済みのコラムに譲るとして、ここでは、ヒットの要因の一つである制作陣の深すぎる愛が伝わるマーク A. レイエス V監督のインタビューを掲載する。

実写化における原作アニメへのリスペクト from フィリピン

本作の完成度の高い実写化に対して、公開初日より多くのファンが、「よくぞ、ここまで!」という賛辞が跡を絶えない。その高評価の理由は、なにより原作アニメ「超電磁マシーン ボルテスV」への愛に溢れていることに他ならない。

本編には、原作アニメと同じ主題歌「ボルテスVの歌」が日本語で展開される。フィリピンでは第二の国歌といわれるこの歌を、フィリピンの歌手、ジュリー・アン・サン・ホセが、原作アニメの主題歌を担当した堀江美都子の歌唱を聞き込み、発音や歌い方を堀江自身も驚くほど似せたことも、オマージュとしての完成度を高めている。

原作リスペクト具合がわかりやすく表れているのが、エンディング映像だ。これは原作アニメのオープニングをオマージュしたものである。注目してほしいのが、原作アニメのオープニングを担当した金田伊功の作画の特徴の一つである、予測不能な動きを再現していること。

主人公たち、ボルテス・チーム 5 人の跳びはねるような動きがそれにあたり、エンディング映像中に何度も登場する。ボルテス・チームの 1 人、ビッグ・バート・アームストロングの吹替キャストを務めた花倉桔道が、初日舞台挨拶で本エンディングについて「『やりすぎだろ!』と思うくらいの再現度でした。収録の際は思わず笑ってしまいました」と語るほど、ファンならではの熱狂的な愛がたっぷりと込められている。

これだけでなく、本編も原作アニメへのリスペクトと愛がたっぷりと込められているので、まだ観ていない70年代ロボットアニメ好きは、ぜひ劇場に足を運んでいただきたい。

愛の深さがわかる監督インタビュー

本作は大きすぎる愛が詰まったファンムービーではあるが、未見の観客を決して置き去りにはしない。吹替キャスト陣と同じく、公開初日の舞台挨拶に駆け付けたマーク A. レイエス V監督は、「懐かしんでくれるのはすでにファンの方だけなので、1970 年代のアニメを原作とした映画を現代の新しい観客に届けたいと思いました」と想いを語った。

ここに公開するインタビュー映像では、監督が、愛するボルテスVを実写化する上での細かなこだわりを明かしている。

フィリピンでは国民の大半がストーリーを知られているボルテスVだが、日本凱旋にあたって、ボルテスVとはじめての出会いを果たすであろう日本の観客を意識し、ボルテスVを知らない人でも理解できるようにしたそうだ。原作イメージを壊さず、こういった配慮がなされることは、なかなか難しい。

そして『ボルテスVレガシー』の“レガシー”に込められた意味が、また熱い。実はタイトルを“Next Generation(次世代)”にするという案もあったそうだが、「70 年代の放送からの歴史やポップカルチャーとの関わりを考えると、これからもさらに続いていくものとして“レガシー”が相応しいんです」とボルテスVの今後の発展を信じるコメントを寄せている。新たなファンを獲得し、次世代に残すため発展させる。一生一緒にいてほしい。そんな多大なる原作愛は、日本公開にとどまらず、これからの未来を見据えているのだ。

また宇宙人から地球を守る主人公側だけではなく、地侵略する敵側の描き方にも気を配ったと監督は語る。原作アニメで、マスオさんこと増岡弘がコミカルな演技をした科学者ズールには論理性を加え、武人ドラコには黒澤明的な人間ドラマを加え、キャラクターに深みを与えた。本作で諏訪部順一と飯田里穂が吹替を担当した、ザルドスとザンドラについては、恋愛的な要素を踏まえ関係性を深堀りすることで物語をより豊かに描いた。

これは、原作アニメの総監督を務めた長浜忠夫によるロボットアニメに見られる特徴、敵側にも侵略する理由があるというドラマ性にを持たせたことに通ずる。こういった映画的描写にも原作ストーリーに敬意を持って変化させているのだ。

監督の自身がなによりファンなのである。原作ファンも、そうでない方も劇場で、そのこだわりを、大きな愛を、劇場で感じられるはずだ。

映画『ボルテスV レガシー』は公開中。

作品情報
映画『ボルテスV レガシー』

ある日地球は“ボアザン星”からやってきたプリンス・ザルドス率いる 軍隊からの攻撃を受ける。通常の兵器が全く通じない中、スティーヴ、ビッグ・バート、リトル・ジョンのアームストロング3兄弟とマーク・ゴードン、ジェイミー・ロビンソンの5人は、密かに製造されていた5機のマシンに乗り込み戦いに挑む。敵側は勝利を確実なものとするため、より強大な獣型ロボット“ビースト・ファイター”を繰り出してきた。5人はそれに対抗するため「レッツ・ボルトイン!」のかけ声とともにマシンを合体させ、巨大な人型ロボット“ボルテスV”となる。果たしてボルテス・チームの5人は、地球を守ることができるのか。

監督:マーク A. レイエス V

出演:ミゲル・タンフェリックス、ラドソン・フローレス、マット・ロザノ、ラファエル・ランディコ、イザベル・オルテガ、マーティン・デル・ロザリオ、リーゼル・ロペス、カルロ・ゴンザレス、エピ・クウィゾン、アルバート・マルティネス、ガビー・エイゲンマン、デニス・トリロ、カーラ・アベラナ

日本配給:東映

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公開中

公式サイト voltes-v-legacy