ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの鮮烈な長編デビュー作を、『ある男』の石川慶監督が映画化する、映画『遠い山なみの光』。この度、本作が第27回上海国際映画祭カンヌ・エクスプレス部門に正式出品されることが決定し、あわせて、本作のカンヌ版特報映像が公開された。
主人公、悦子を演じるのは広瀬すず。悦子が長崎にいた頃に出会う、謎めいた女性であり幼い娘と暮らす佐知子役には二階堂ふみ。そして悦子が長崎を離れイギリスで暮らす1980年代の姿を吉田羊が演じる。




さらに、悦子(広瀬すず)の夫で、傷痍軍人の二郎役には松下洸平。二郎の父であり、かつて悦子が勤務していた学校の校長でもある緒方役には三浦友和。そのほか、日本パートには柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜が出演し、イギリスパートでの悦子(吉田羊)の娘ニキ役には、カミラ・アイコがオーディションを経て抜擢された。

そしてこの度、第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に続いて、本作が第27回上海国際映画祭カンヌ・エクスプレス部門に正式出品されることが決定。あわせてカンヌでの豪華絢爛なレッドカーペット&公式上映時の熱狂ぶりが伝わるカンヌ版特報映像が公開された。
上海国際映画祭は2025年6月13日~22日に開催され、映画文化の普及と発展を目的に毎年国内外の約500もの作品が上映される。本作が出品されるカンヌ・エクスプレス部門は、カンヌ国際映画祭で上映された作品のうち、選りすぐりの作品をいち早くアジアで上映する部門として、昨年は邦画から『ナミビアの砂漠』『化け猫あんずちゃん』が上映され、話題を呼んだ。『遠い山なみの光』は本映画祭での上映がアジアプレミアとなる。
▼徐昊辰(上海国際映画祭プログラマー) コメント
一見穏やかに見える日常の奥底に、戦後の不安、生活の不穏、そして女性たちが抱える葛藤や傷が静かに息づく。撮影、美術、そして俳優たちの緻密な演技によって、言葉にされない感情が丁寧に掬い上げられていく。映像化が困難とされた原作に対し、監督は独自の視点と美意識で挑み、記憶の襞に潜む“嘘”と“真実”を巧みに可視化した。時代と場所を越えて交錯する人々の記憶が静かに重なり合い、やがてひとつの深い問いへと昇華していく。静謐かつ力強い語り口で綴られる、普遍的な人間の営みに迫る珠玉のヒューマン・ドラマである。このたび、第27回上海国際映画祭にて本作を上映できることを、心より光栄に思います。
映画『遠い山なみの光』は、2025年9月5日(金)より全国ロードショー。

日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、自著執筆のため、異父姉の死以来足が遠のいていた、母が一人で暮らす郊外の実家を訪れる。母の悦子は、長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは母の過去を何一つ聞いたことがない。夫と長女を亡くし、想い出の詰まった家で一人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るという、ある「夢」について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、とある女性と、その幼い娘の夢だった。
監督・脚本・編集:石川慶
出演:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、カミラ・アイコ、柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜、松下洸平、三浦友和
原作:「遠い山なみの光」カズオ・イシグロ/小野寺健訳(ハヤカワ文庫)
配給:ギャガ
©『遠い山なみの光』製作委員会
2025年9月5日(金) 全国ロードショー
公式サイト gaga.ne.jp/yamanami/