Aug 27, 2025 news

李相日監督、クロエ・ジャオ監督 黒澤明賞を受賞 「第38回東京国際映画祭」

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10月27日(月)から11月5日(水)に開催される、第38回東京国際映画祭。今年度の黒澤明賞の受賞者が、李相日監督とクロエ・ジャオ監督に決まったことが発表された。

黒澤明賞は、故・黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していきたいとの願いから、世界の映画界に貢献した映画人、そして映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる。昨年は三宅唱監督とフー・ティエンユー監督が受賞した。

今年は、山田洋次監督、奈良橋陽子、川本三郎、市山尚三東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの4名の選考委員による選考の結果、受賞者が李相日監督とクロエ・ジャオ監督に決定した。

李相日監督は大学卒業後、日本映画学校(現:日本映画大学)にて映画を学び、卒業制作作品『青~chong~』が「ぴあフィルムフェスティバル」のアワード2000でグランプリ他4部門を受賞。その後も 2003年『BORDER LINE』で新藤兼人賞金賞受賞、2006年『フラガール』で第30 回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞し、『悪人』『許されざる者』『怒り』『流浪の月』でも高い評価を得た。2025年は、歌舞伎を題材にした最新作『国宝』が、カンヌ国際映画祭監督週間で世界初上映され、邦画実写作品としては異例ともいえる興行収入100億円超えの大ヒットを果たしている。

クロエ・ジャオ監督は、北京出身の脚本家、映画監督、編集者、プロデューサー。3作目の長編映画『ノマドランド』は、2020年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、全米監督協会賞、全米製作者組合賞などで数々の賞を受賞し、さらにアカデミー賞では監督賞、主演女優賞、作品賞の3部門を受賞した。その後、マーベル・スタジオ作品『エターナルズ』を共同脚本・監督。2023年にはプロデューサーのニック・ゴンダと共に製作会社「Book of Shadows」を設立。最新作は、ジェシー・バックリーとポール・メスカル主演の『Hamnet』を共同脚本・監督し、公開が控えている。

黒澤明賞の授賞式は 11月3日(月・祝)に開催される予定となっている。

【選考委員による受賞理由】

李相日監督は、しばしば社会の矛盾や人間の罪の問題を扱った重厚なテーマを描きつつ、それを多くの観客の共感を呼ぶヒューマニズム溢れる人間ドラマとして昇華させてきました。最新作『国宝』はカンヌ監督週間を始めとする多くの国際映画祭で上映されるとともに、日本国内でも幅広い観客層に支持され、商業的な成功をおさめました。今後の日本映画、そして世界の映画を牽引することを期待し、李 相日監督に黒澤明賞を授与します。

【受賞者からのコメント】

▼李相日監督
敬愛する山田洋次監督はじめ、審査委員の皆さま、並びに東京国際映画祭に感謝申し上げます。なにより、スタッフ・キャストの献身なしにこのような賞に浴すことは叶いませんでした。そして、これまでの作品に関わってくださった皆さまに深く感謝いたします。御多分に洩れず、私の中でも黒澤明という名は永久に超えられない壁として君臨しています。映画をめぐる環境がいかに変わろうとも、人間の本質に迫るその力強さは色褪せることなく、映画が社会や個々の人生に多大な影響を及ぼすことを示しています。その名を冠した賞を背負う意味を、この先も自らに問い続けたいと思います。この度は誠にありがとうございます。

▼クロエ・ジャオ監督
本賞を受賞することとなり、光栄に存じます。黒澤明の作品には、自然の最も広大なスケールと、人間の心理の最も深い真実が共存しています。この系譜に連なることは、本当に謙虚な思いを抱かせられます。物語の語り手は、文化、国境、過去と未来、光と闇、喜びと苦痛、愛と死を結びつける架け橋です。私たちは経験を錬金術のように変容させ、それらに意味を与え、カタルシスを得ることを願っています。東京国際映画祭、選考委員会、そして観客の皆様に、私たちを支えてくださり、私たちの目的を思い起こさせて下さったことに、心から感謝申し上げます。

第38回東京国際映画祭 は、2025年10月27日(月)から11月5日(水)まで開催。

イベント情報
「第38回東京国際映画祭」

<開催概要>
開催期間:2025年10月27日(月)~11月5日(水)

会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
 
公式サイト tiff