7時間18分の伝説的な作品『サタンタンゴ』、56歳という若さで映画監督からの引退を表明した最後の作品『ニーチェの馬』など、いまなお世界中に熱狂的な支持者を生み出している巨匠タル・ベーラ監督。彼が初期に手がけ、日本初公開となる3作品が4Kデジタル・レストア版で2022年1月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて一挙上映される。
この度、予告映像が公開された。
上映されるのは、下記の3作品。
映画『ダムネーション/天罰』(1988年/121分/モノクロ)
『サタンタンゴ』原作者であり、本作以降すべての作品で共同作業を行う作家クラスナホルカイ・ラースローがはじめて脚本を手がけた。さらに『秋の暦』から音楽を手がけるヴィーグ・ミハーイが本作にも携わり、“タル・ベーラ スタイル”が確立された記念碑的作品。罪に絡めとられていく人々の姿を「映画史上最も素晴らしいモノクロームショット」(Village Voice)で捉えている。
映画『ファミリー・ネスト』(1977年/105分/モノクロ)
わずか22歳で手がけた鮮烈な監督デビュー作。住宅難のブダペストで夫の両親と同居する若い夫婦の姿を、16ミリカメラを用いてドキュメンタリータッチで撮影した。不法占拠している労働者を追い立てる警察官の暴力を撮影して逮捕されたタル・ベーラ自身の経験を基にしている。ハンガリー批評家賞の新人監督賞、さらにマンハイム国際映画祭でグランプリを獲得した。
映画『アウトサイダー』(1981年/128分/カラー)
ブダペストの映画芸術アカデミーに在籍中に製作された長編2作目。社会に適合できないミュージシャンの姿を描いた、珍しいカラー作品。タル・ベーラは本作に対し、「当時のハンガリー映画に映っているのは嘘ばかりだった。本当の人々の姿を撮りたかった。これは映画に対するアンチテーゼだ」と語っている。
一見異なるようにみえる作品群だが、社会で生きる人々の姿を凝視し、それを映像にとらえる姿勢は、タル・ベーラのフィルモグラフィに一貫する共通項の萌芽を感じとることができる。
ジム・ジャームッシュやアピチャッポン・ウィーラセタクンなどの映画作家に影響を与えてきたタル・ベーラ監督が、いかにして唯一無二の映画作家になったのか、その足跡をたどる傑作集『タル・ベーラ 伝説前夜』は2022年1月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて一挙公開。
タル・ベーラ監督が伝説の傑作『サタンタンゴ』以前に手がけた日本劇場未公開の3作『ダムネーション/天罰』『ファミリー・ネスト』『アウトサイダー』を4Kデジタル・レストア版にて一挙上映。
監督・脚本:タル・ベーラ
配給:ビターズ・エンド
2022年1月29日(土) シアター・イメージフォーラムほかにて一挙公開