幼い頃に別れた父を訪ね、母国であり異国の地ボスニアへと向かう1人の少女と、彼女の旅の道連れとなる2人の青年を描いた、エナ・センディヤレヴィッチ監督の初長編監督作品、映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』。この度、本作の予告映像と日本版ポスタービジュアルが公開された。

少女アルマは、オランダ生まれのボスニア人。両親は戦火に揺れた祖国を離れ、オランダで彼女を育ててきた。やがて父はひとり祖国へ戻り、消息は遠ざかっていた。そんな父が入院したという知らせが届き、母に言われるまま、アルマはたったひとりでボスニアへと向かう。出迎えたのは、終始ぶっきらぼうで何の手助けもしてくれない従兄のエミル。部屋に置き去りにされ、キャリーケースは壊れ、荷物も取り出せず、居場所のない空間に身を持て余す。そんな時、アパートの扉の前で眠り込んでいた彼女に声をかけたのは、エミルの“インターン”を名乗るデニスだった。彼だけが、彼女の話に耳を傾けてくれるのだが‥‥。ようやく父のいる町を目指し、小さなキャリーケースを引いてバスに乗り込むが、休憩の間にバスは彼女を置き去りにし、荷物だけを乗せたまま走り去ってしまう。




監督は、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身でオランダ育ちのエナ・センディヤレヴィッチ。長編デビュー作となる本作は、監督自身のルーツを主人公に色濃く投影した半自伝的な作品で、監督が心酔するジム・ジャームッシュの代表作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から多大なインスピレーションを受けているという。「大人」とも「少女」とも言いきれないひとりの若い女性が経験する、このひと夏の物語は、青春ロードムービーであり、陽光きらめくバカンス映画の趣も湛える。
1992年にユーゴスラビアから独立し、激しい内戦を経験したボスニアには、今なお悲惨な紛争の傷跡が残るが、監督はアルマという新たな世代のまなざしを通して、そのネガティブなイメージを刷新した。




タイトルである『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』は、監督が愛するスコットランド出身のポストロックバンド、モグワイの楽曲名に由来。監督自身のルーツが色濃く投影されたアルマは「自分はどこに属しているのか」「本当の居場所はどこなのか」を問い続ける。監督曰く、アルマというキャラクターを「カフカ的な旅に出る現代の『不思議の国のアリス』」と表現し、その複雑で曲がりくねった旅路を、撮影、美術、衣装などの映像的なディテールにこだわり抜いて描く。
映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』は、2025年9月13日(土)より全国順次公開。

少女アルマは、オランダ生まれのボスニア人。両親は戦火に揺れた祖国を離れ、オランダで彼女を育ててきた。やがて父はひとり祖国へ戻り、消息は遠ざかっていた。そんな父が入院したという知らせが届き、母に言われるまま、アルマはたったひとりでボスニアへと向かう。出迎えたのは、終始ぶっきらぼうで何の手助けもしてくれない従兄のエミル。部屋に置き去りにされ、キャリーケースは壊れ、荷物も取り出せず、居場所のない空間に身を持て余す。そんな時、アパートの扉の前で眠り込んでいた彼女に声をかけたのは、エミルの“インターン”を名乗るデニスだった。彼だけが、彼女の話に耳を傾けてくれるのだが‥‥。
監督・脚本:エナ・センディヤレヴィッチ
出演:サラ・ルナ・ゾリッチ、エルナド・プルニャヴォラツ、ラザ・ドラゴイェヴィッチ
配給:クレプスキュール フィルム
© 2019(PUPKIN)
2025年9月13日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開