Oct 25, 2022 news

藤ヶ谷太輔の“真に迫る芝居” 撮影現場レポート&場面・メイキング写真解禁! 映画『そして僕は途方に暮れる』

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2018年にシアターコクーンで上演され、各所から絶賛を浴びたオリジナルの舞台を、脚本・監督・三浦大輔×主演・藤ヶ谷太輔が再タッグを組み映画化が実現した、映画『そして僕は途方に暮れる』。本作は、第35回東京国際映画祭(10月24日~11月2日開催)ガラ・セレクション部門に正式出品されることも決定している。

この度、本作の撮影時のエピソードとともに、場面写真とメイキング写真が公開された。

脚本・監督を務めるのは、『愛の渦』『娼年』など、毎回賛否が渦巻く衝撃作を世に送り出し、各界から注目を集め続けている異才・三浦大輔。舞台に続き主人公・菅原裕一を演じるのは、Kis-My-Ft2のメンバーとして活躍する藤ヶ谷太輔。そのほか、前田敦子、中尾明慶が、舞台と同じ役柄で続投。映画から新たなキャストとして、豊川悦司、原田美枝子、香里奈、毎熊克哉、野村周平ら個性的で魅力あふれるキャスト陣が集結。

本作の撮影は、2021年の3月~4月にかけて行われ、映画だからこそ実際に現地へと足を運んで撮影する‥‥すなわちロケーションが各地で敢行された。原作となった舞台では、ロードムービー的な物語を舞台上でどう見せるかという工夫が施されていたが、映画は文字通りロードムービーとして、物理的に場所を移動して撮影していく。そして、藤ヶ谷演じる裕一が、追いつめられ帰る北海道の苫小牧は、三浦監督の生まれ育った地でもあった。

「そこに強い思いがあったかと言われると、実はそういうことでもなくて。さんざん見てきた景色だったから切り撮りやすかったというのが、正直なところなんです(笑)。とはいえ、苫小牧独特の空気感が滲み出るような映像は撮れたのかなと思っています。何より、藤ヶ谷くん自身が苫小牧へ行って、菅原の生まれ故郷を体感してバックボーンを蓄積したことによって、その後の芝居においても役立ったように感じているんです。」(三浦監督)、北海道での撮影は4月だったにもかかわらず、真冬のように寒かったという。肉体的にも精神的にも追い込まれ、雪の中を途方に暮れて歩く藤ヶ谷の姿は、自身が演じる裕一により一層のリアリティがもたらされていたに違いない。

また、本作はシネマスコープのサイズで撮影されている。「シネスコの狙いはまず、作品全体を『映画というもので包む』という意図があったので、仕掛けとして必要だったんです。あとは、一見、はたから見たら、どうでもいいと思えるような些細な物語なので、それを敢えて、映画的に見せ切ることが、歪(いびつ)で面白いと思ったんです」(三浦監督)。

当初、小西啓介プロデューサーはシネスコサイズで撮ることに懐疑的でもあったようだが、終わってみれば監督の選択が賢明だったと称賛している。「前半は室内での会話シーンが多いのでシネスコサイズの効果がどれだけあるのだろうか?現場は狭いし、色々大変なんじゃないかとスケジュール面への影響なども心配していましたが、北海道ロケやドローンで撮った映像を見て、前半の窮屈な世界感と後半のギャップは効果的だと思いました。」(小西P)

そういったテクニカルな面もさることながら、本作では、三浦監督の変化がいくつか見られたよう。「終盤のある大事なシーンの撮影のワンテイク目で藤ヶ谷さんが完全に裕一が乗り移ったかのごとく‥‥感情が溢れ出す凄いお芝居をされたんです。それは凄く良かったのですが、そのシーンの狙いとはやや違っていたので、その後、結構な数のテイクを重ねていたことがありました。ですが、後の編集ラッシュで監督はワンテイク目を使って、裕一の感情に寄り添った劇伴までつけていました。

私が知る限りでは演出家としての三浦監督は俳優さんのお芝居に引っ張られてシーンの狙いを変えることがこれまでほぼなかったような気がします。少しでも違うなと思うとテイクを重ねながら微調整して完成形に近づけていく。そのあたりの徹底ぶりは凄いものがあります。でも、結果的にそのシーンではワンテイク目を使った。シーンのニュアンスを変える程、藤ヶ谷さんの演技に心を動かされたのだと思いました。その点はすごく印象に残っていますね。」(小西P)菅原裕一と同化した藤ヶ谷による、台本を超えての真に迫る芝居の賜物と言えるだろう。

現場での藤ヶ谷は、人間関係を断って逃げる役柄ということもあり、和気あいあいというよりは、裕一という役に向き合って黙々と芝居に臨んでいた。演出面で監督に追い込まれ、藤ヶ谷自身も敢えて自分を追い込んでいたようにも見えたという。撮影が進むにつれ、どんどんやつれて疲弊していった藤ヶ谷は、「まさに身を削って裕一役を演じ切った。」と言えるだろう。

共感と反感の連続、予測不能なストーリー、二段オチとも言えるまさかのクライマックス。映画『そして僕は途方に暮れる』は、2023年1月13日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。

作品情報
映画『そして僕は途方に暮れる』

自堕落な日々を過ごすフリーターの菅原裕一は、長年同棲している恋人・里美と、些細なことで言い合いになり、話し合うことから逃げ、家を飛び出してしまう。その夜から、親友、大学時代の先輩や後輩、姉のもとを渡り歩くが、ばつが悪くなるとその場から逃げ出し、ついには、母が1人で暮らす苫小牧の実家へ戻る。だが、母ともなぜか気まずくなり、雪降る街へ。行き場を無くし、途方に暮れる裕一は最果ての地で、思いがけず、かつて家族から逃げていった父と10年ぶりに再会する。「俺の家に来るか?」、父の誘いを受けた裕一は、ついにスマホの電源を切ってすべての人間関係を断つのだが‥‥。

脚本・監督:三浦大輔

原作:シアターコクーン「そして僕は途方に暮れる」(作・演出:三浦大輔)

出演:藤ヶ谷太輔、前田敦子、中尾明慶、毎熊克哉、野村周平 / 香里奈、原田美枝子 / 豊川悦司

企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ

©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会

2023年1月13日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

公式サイト happinet-phantom.com/soshiboku/