相米慎二監督作品『お引越し』『夏の庭 The Friends』が4Kリマスター版として全国順次公開される。
『セーラー服と機関銃』『ションベン・ライダー』『台風クラブ』などで知られる相米慎二監督。作品に関わった俳優・スタッフをはじめ、没後20年以上経った今もなお、映画人たちへのその影響は計り知れない。
1993年、第46回カンヌ国際映画祭で“ある視点”部門に選出された『お引越し』は、両親の別居から家族の危機に揺れる小学6年生の少女の心を躍動感たっぷりに描く。35ミリオリジナルネガフイルムから4K解像度によるスキャンを行い、デジタルリマスター作業を施したリマスター版は、昨年第80回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門に出品され、最優秀復元映画賞を受賞。その後フランスで劇場公開され、当初の数館から50館以上に公開拡大。さらにはフランスを代表するル・モンド紙一面で取り上げられるなど、各メディアから「30年の時を経て、ついに姿を現した」「青春映画の偉大な作品」と絶賛の声が集まった。また、台湾やアメリカ、オランダ、スイスでも上映された。
同じく公開を迎える『夏の庭 The Friends』4Kリマスター版は、今夏、大々的に相米慎二監督特集が組まれた香港映画祭〈夏編〉にてワールドプレミア上映を果たした。
少年少女が大人へと変貌していこうとする普遍的な瞬間を見事に映し出した2作が、公開から約30年後のいま、海外での再評価・上映を経て“凱旋”公開される。