続いて質問は『相棒』シリーズの物語に。ドラマの事件がいまやサイバー犯罪へと変化したことについて、水谷は「『相棒』は、思えば“大人がテレビを観なくなった”と言われた時代が始まりだったんです。我々はとにかく“大人を振り向かせたい”という想いを持っていて。それにはまず社会的であること、それとやはりエンターテインメントであること。そこから社会派エンターテインメントっていうことを言い始めたんです。そこにはいつも“今を生きていこう”ってそんな話を2人でしていたことから始まったことを覚えていますね。いつもその社会が後ろにはあって、今に至っている。そう思うと、その時代時代が全部映っているはずなんですね」と当時抱いていた想いを明かし、寺脇は「25年の日本の歴史が、バックボーンにあるということですね」と添えた。


17年ぶりのコンビ復活について水谷は「14年ぶりの出会いの回が『どんな出会いするんだろう』と思っていたんですよ。そしたら、脚本がね大げさでもなくて、14年ぶりの再会なんてドラマティックにしたがるじゃないですか。だけど全然ドラマティックじゃなくてサラッと会うんですよ。これがもう素晴らしい脚本で」と絶賛。寺脇も「普通でしたもんね、しかも割と早い段階で『右京さん!亀山薫です!』ってね」と亀山を演じると、水谷も応えるように『分かってますよ』と右京を実演。これには、客席から歓声が沸き上がった。
最後の質問では改めて「相棒」の魅力を問われ、寺脇は「そりゃもう、右京さんですよ。それに尽きますよまずは。僕は豊さんに憧れて役者になったんですから。その方とこうやって共演できている嬉しさと驚きがあります」と熱弁。

一方、水谷は「相棒はバディもので、それまでにもいろいろとあったけれども(寺脇と)初めて仕事をしたのが『刑事貴族』でね」と振り返り、寺脇が「僕、正確に覚えてます。『7年くらいしたら、また一緒にやればいいじゃない』って豊さんと別れて。それで『相棒』が始まったのが7年後なんです」と話すと、水谷から「本当にそうなんです。2人でバディものをやろうと思った時に、2人の中では杉下右京と亀山薫というイメージがもうあって、そして脚本が見事だったんです。もう一回したいね、と思っている中で脚本、演出、監督、キャスト、皆が揃った中で始まれた作品だった」と語った。さらに寺脇も「豊さんがいつも仰るんですけど、『誰とやるか、何をやるか。この2つが大事だよ』と。その時はビシッと揃いましたね」と大人気シリーズの誕生秘話が明かされた。

そしてトーク後に行われたフォトセッションでは、観客から「右京さん!」コールが飛び出し、最後に、閉館する丸の内TOEIへの想いを問われると寺脇は「この劇場は、公開してから実はこっそり一人でも来たことがあって。そんな思い出のある劇場で今日、また最後にみなさんに観ていただけるということで、最後までごゆっくりお楽しみください!本日はありがとうございました!」と述べ、水谷は「どなたかが仰った名言に『記録よりも、記憶に残る』という言葉がありますけれども、この丸の内TOEIそして『相棒』がみなさんの記録よりも記憶に残っていただけたらと思います。今日はありがとうございました!」で締めくくり、ファンとの一体感に包まれながらイベントは幕を閉じた。

「さよなら 丸の内TOEI」は、2025年5月9日(金)から7月27日(日)まで開催中。

往年の名作から最新作まで100タイトル以上を特集上映。そのほか、各種関連イベントが予定されている。
上映劇場:丸の内TOEI
提供:東映株式会社
2025年5月9日(金)から7月27日(日)まで開催中