撮影当時を振り返り大変だったことを聞かれると、斉藤は「もちろんヨーヨーですね」と即答。その理由として「当時はフィルムで撮影していたので、重ね撮りができない。撮ってNGだったらその瞬間から廃棄物になってしまうんですね。つまりNGを出せば出すほど予算を圧迫していくわけなんです。私、ヨーヨーのシーンで26回NGを出したことがありまして‥‥」と振り返る。「だって、考えてみてくださいよ。歩きながら、ヨーヨーを上げ下げしながら、前を見て、セリフを喋る。いっぺんに難しいことをやるシークエンスでNGを26回出して、監督さんとかスタッフさんの表情が真っ白くなっていたのを覚えてます」と話すと、南野が「でも、26回まではNG出して大丈夫と私は言われていた」と打ち明けると登壇者含め会場は大笑い。ヨーヨーの難しさについては南野も「毎日100回、投げては戻しを繰り返し練習して、ようやく色々な遊びができるようになってきた」と話し、浅香は「ヨーヨーをやるということは分かっていたので、皆さんの映像を何回も見させていただいて、何回も練習して研究していました」と明かすが、「ただ一つだけ、決め台詞を言って投げた後のヨーヨーって自分に戻ってくるじゃないですか。そのよけ方だけはわからなかったです」と二人を見遣ると、斉藤は「投げて戻ってきて、けっこう顔に激突とかありましたよ」と衝撃の告白。さらに南野から「ヨーヨーって今のものと違って、横に投げたら簡単には戻ってきません!」と明かし、「色々あったけど、おもしろかったですよ」と笑顔で話し、満員の会場からも笑いがあがった。

さらに、『仮面ライダー』シリーズでも知られるスタントチーム大野剣友会の手掛けるアクションシーンの思い出を聞かれると斉藤は「40年経ったし言ってもいいと思うんですけど、バイクに乗って革のジャケットを着てフルフェイス、となっている時は、プロの方がやってくれてました」と吹替を告白。「それ以外のところはプロの皆さんに教わりながら、すみません‥‥と思いながら私がやっておりましたが、ただ、そういうところでこういったアクション作品の様式美的なところをすごく勉強しました」と話した。
南野はヨーヨーを投げる際のポーズについて、「映画の時かな、威力が増すヨーヨーに設定の変更があり、その投げ方を自分で考えなさいという風になったんですね。それで、自分で考えて、大野剣友会つまり仮面ライダーチームですよね、そこのトップの方に見せに行くんですけど、見せても何も言ってくれない、みたいなことは何回かありました。それを受けてチームの人たちと改めて考えて、決まるまで提案し続けて」と大変だった記憶を回想。続いて浅香が「忘れちゃいけない、私、忍者設定だったんです」と話し出すと会場からは笑いがこぼれつつ「忍者走りや忍法についても勉強をするということで、撮影に入る4か月前から特訓がありました。忍者のような動きとか殺陣とか。基本的な蹴りや受け身などもやりましたね。監督としては“山猿”をイメージしたそうで、そこを買っていただいたかなと思ってましたね」と話した。


その後も、ヨーヨーにまつわる各々のエピソードが披露されたのち、「閉館まであと50日」の足元看板を前にした三人にあらためてマイクが渡された。斉藤は「本日は記念すべき素晴らしいイベントの一日に来ていただき感謝申し上げます。東映、そしてこの東映会館にはすばらしい思い出がたくさんあります。朝早く、ここ(東映会館)で眠い目をこすりながら支度をしてロケに出かけた記憶とかもあります(笑)閉館でなくなってしまうのは寂しいですけど、新しいステップに行くのだと思うと、とても感慨深いです。この後まだ陽子ちゃんと唯ちゃんの素晴らしい映画が上映されると思いますけど、最後までどうぞ楽しんでいってください。ありがとうございます」と挨拶を送った。
南野は「この丸の内TOEIは65年の歴史ですが、その間の40年という日々の中、節目節目で私もこの場に立たせていただいて嬉しく思っています。もうここに立てなくなるんだと思うと少し寂しく思うんですけど、でもそのラストに『スケバン刑事』の三人でここに来られたことは宝物だな、続けてきてよかったなとも思います。また作品はずっと続いていくし、パッケージも発売されるみたいなので、これからもチェックしてほしいです。今日は本当にありがとうございました」と一礼。
浅香は「本日はありがとうございました。私自身、斉藤由貴さん、南野陽子さんと並んで登壇できたことは光栄ですし、有り難いことですし、こんなに長いこと愛してもらえる『スケバン刑事』って本当にすごいんだなと改めて知ることができました。40年ほど前のドラマ・映画ですが、みんなが一生懸命作った、魂のこもった素晴らしい作品になっているので、いま見ても決して色あせることはないと思います。どうか皆さん最後まで楽しんでいってください」と呼び掛けた。最後は惜しまれながら、三人がこの日一番の大きな拍手に送り出されイベントは終演を迎えた。

「さよなら 丸の内TOEI」は、2025年5月9日(金)から7月27日(日)まで開催中。

往年の名作から最新作まで80タイトル以上を特集上映。そのほか、各種関連イベントが予定されている。
上映劇場:丸の内TOEI
提供:東映株式会社
2025年5月9日(金)から7月27日(日)まで開催中