May 11, 2025 news

北大路欣也が『仁義なき戦い 広島死闘篇』上映後に登壇 知られざる撮影秘話を語り大喝采 「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクト

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またバイオレンスなアクションシーンの殺陣について北大路は「殺陣はあります。朝、現場に入って殺陣師の方と出演者とで手数を確認します。一人一人確認を取って、一人一人その殺陣のリズムを頭に刻む。確認が済むまではずっとリハーサルです。午前中は全部リハーサルとテストで、カメラの台数分確認をします。当時はフィルムですからテスト芝居をモニターで見るなどということはできません。フィルムを回したら、本当に一発勝負。スタッフの皆さんもわれわれ出演者も物凄く緊張していました」と明かす。

山中が熱々の丼を頭にかけられるシーンでは、深作欣二監督からは「本気度が足りない、中身をもっと熱くしろ!」との指示があったそうで「覚えてますね。ただ、現場にいる先輩方は皆さん私が憧れを抱いている方ばかりで、皆さんこんな私を支えてくれて、育ててくれた方々。そんな先輩に丼かけられるならそれはそれでいいやと(笑)それはもう熱かったですよ。でも多分、お互いに交流してきた、育んできた友情というのが何よりの支えだったと思います」と本気度の高いことで有名な深作監督の現場を振り返った。

さらに“仁義なき戦いシリーズ”の主役 菅原文太については「撮影所ではしょっちゅうお会いする、とても器量の大きな兄貴分」としたうえで「たまに食事に連れて行ってもらうと『松方弘樹、北大路欣也、これから頑張らなきゃだめだぞ、お前ら』とよく励ましていただきました。大きな優しさもありつつ、非常に冷静。山中という役で文太さんに会えるというのは、自然体で嬉しいと感じられた思い出があります」と語った。

菅原演じる広能昌三は薄目で遠くを見遣るような渋さがあるが、対して北大路演じる山中は静かながらも見開いた眼が血走るような迫力が特徴。役づくりについて聞かれると北大路は、「あの目は、稽古やテストの間に興奮してきて自然に出てきたものでもありますし、いよいよ本番となる際にそのシーンの思いに近づくために何分間か息を止めてみようとやっていたこともあります。裸になるシーンもたくさんありましたので、少しは身体にも気合いを入れようと、腕立て伏せをしていたりしたこともあったので、それも効いていたのかもしれないです」と答えた。

そんな、山中の鬼気迫るラストシーンも見せ場の一つ。笠原和夫の脚本では、山中はこめかみに銃を当てることになっていたが、実際の北大路の芝居は銃を喉奥に咥える形に。それについて北大路は「笠原和夫さんはデビューした頃から面倒を見てくださっていた方。その笠原さんと深作監督が抱く戦争に対する思いというのは、私たちでは想像ができないほど物凄いものがある。ただ、その滾るような思いは大事にしたいと思っていたところ、あるとき監督に『ラストシーンについて自分はまだどうするのか考えられてないけど、君は君なりに考えておいてくれよ』と言われました。脚本を書いた笠原さん自身もそういう思いをお持ちだったと思います。『予科練の歌』や『海軍の歌』が印象的に登場するのも、お二人の色々な思いがあってのことだと思います。それで、最後の最後、その撮影シーンの朝に監督から芝居の決定を伝えられました。山中は銃に弾を込めながら、思いの一つ一つを詰め込んだのだなと思います」と語った。

最後に、7月27日(日)に丸の内TOEIが閉館することに対して北大路は「65年の間、多くの映画ファンの方々に支えられ、数多くの作品がこの劇場で上映されました。そしてわれわれの尊敬する先人の方々も皆さんこの舞台に立ってご挨拶や感謝の思いを伝えられたと思います。私たち後輩もそういう先人の背中を見ながら育ってきました。その方々の作り上げられた大きなピラミッドに向かって、今も私は頑張っております。多くのファンの方々への感謝の思いと、そして築き上げられた先人の方々への御礼の思い、色々な思いで今日はここに立たせていただいております。私もデビューしてから来年で70年を迎えることになります。もう少し頑張って、先輩たちの後を追いかけていきたいと思います。本日は誠にありがとうございました」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。

「さよなら 丸の内TOEI」は、2025年5月9日(金)から7月27日(日)まで開催中。

作品情報
「さよなら 丸の内TOEI」

往年の名作から最新作まで80タイトル以上を特集上映。そのほか、各種関連イベントが予定されている。

上映劇場:丸の内TOEI

提供:東映株式会社

2025年5月9日(金)から7月27日(日)まで開催中

公式サイト marunouchi-toei-sayonara0727