Feb 01, 2023 news

崔洋一監督の追悼特集上映、2月に池袋・新文芸坐で開催決定

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【上映作品一覧(10作品)】

『友よ、静かに瞑れ』(監督:崔洋一/原作:北方謙三「友よ、静かに瞑れ」/出演:藤竜也、倍賞美津子、原田芳雄、室田日出男、佐藤慶 ほか/配給:東映セントラルフィルム)

©︎1985角川映画

逮捕された友のために沖縄にやってきた男が警察と結託した巨悪に単身挑む。原作の温泉街を沖縄に改変、辺野古ロケも奏功した。迷宮のような街並み、無国籍な空気感が、崔の乾いた演出と相まった和製ハードボイルドの傑作。

上映期間:2023年2月19日(日)〜27日(月)


『十階のモスキート』(監督:崔洋一/出演:中村れい子、吉行和子、小泉今日子、アン・ルイス、佐藤慶 ほか/配給:ATG)

©︎1983「十階のモスキート」製作委員会

妻に離婚され、サラ金地獄に陥った警察官が郵便局強盗を企てるまでを描く。閉塞した現実を強烈に挑発する1作。男は万年係長のサエない警察官で、妻はそんな男に愛想をつかし、娘を引き取って離婚していた。娘は原宿のロックンロール族に狂い、時々、男に金をせびりに来るが、男は娘にだけは甘い。男はいつも落ちている昇進試験のためにサラ金から借金をしてパソコンを購入する。男は妻への支払い、サラ金への返済で出費がかさみ、競艇に手を出し、さらにサラ金から金を借りるという悪循環が続き、とうとう、返済の催促は交番にまで及ぶ。

上映期間:2023年2月19日(日)〜27日(月)


『Aサインデイズ』(監督:崔洋一/原案:利根川裕原作「喜屋武マリーの青春」/出演:中川安奈、石橋凌、広田玲央名、大地康雄、中尾ミエ、川平慈英 ほか/配給:大映)

中川演じるリエは沖縄ロックの女王・喜屋武マリーがモデル。ベトナム戦争期の沖縄を舞台に、ロックバンドの若者たちの青春群像を描く。延々と歌う“スージーQ”、キャベツの投げ合いなど、愛憎のせめぎ合いを熱量たっぷりに描く。

上映期間:2023年2月20日(月)〜3月1日(水)


『黒いドレスの女』(監督:崔洋一/原作:北方謙三「黒いドレスの女」/出演:原田知世、永島敏行、藤真利子、藤タカシ、橋爪功 ほか/配給:東宝)

裏で「逃がし屋」をしているバーテンの田村は、ある男の外国逃亡を依頼される。一方、拳銃を持った若い女が現れる・・・・。80年代中盤から後半、角川映画に連続登板した崔が、原田を脱アイドルの地平に導いたスタイリッシュな1本。

上映期間:2023年2月20日(月)〜3月1日(水)


『いつか誰かが殺される』(監督:崔洋一/原作:赤川次郎「いつか誰かが殺される」/出演:渡辺典子、古尾谷雅人、松原千明、白竜、橋爪功 ほか/配給:東映)

突然姿を消した父親を捜す高校生の敦子の周囲で、次々に不可解な事件が起こる。原作を大胆に改変、活劇スタイルの展開に崔らしさが見えるが、初のアイドル映画に「未知の世界を監督することに楽しみと苦しみがあった」と述べる。

上映期間:2023年2月21日(火)〜24日(金)


『豚の報い』(監督:崔洋一/原作:又吉栄喜「豚の報い」/出演:小澤征悦、あめくみちこ、上田真弓、早坂好恵、岸部一徳 ほか/配給:ビターズ・エンド=サンセントシネマワークス)

豚がもたらす厄でマブイ(魂)を落とした女たちと、正吉は故郷の“神の島”を訪れる。崔は自然と人間の生命力を描いた原作に「日常的な風景を描きながら、同時に非日常的な人間の逞しさがある」と感動、映画化を熱望したという。

上映期間:2023年2月21日(火)〜24日(金)


『マークスの山』(監督:崔洋一/原作:高村薫「マークスの山」/出演:中井貴一、萩原聖人、名取裕子、小林稔侍、西島秀俊 ほか/配給:松竹)

暴力団員が殺害された数日後、同じ手口で刑事部長が殺される。無関係に見える二つの事件を捜査するうち、浮かび上がってきた秘密とは。生々しい性描写、暴力シーンを交え、骨太なドラマを構築した崔の演出が見事。

上映期間:2023年2月22日(水)〜3月2日(木)


『クイール』(監督:崔洋一/原作:秋元良平、石黒謙吾「盲導犬クイールの一生」/出演:小林薫、椎名桔平、香川照之、寺島しのぶ ほか/配給:松竹)

盲導犬クイールと、寄り添った人間たちとの出会いと別れを淡々とした筆致でつづる。ハードな作風のイメージが強い崔のフィルモグラフィの中では異色だが、ハンデを負った者、取り残された小さな存在への眼差しが通底している。

上映期間:2023年2月22日(水)〜3月2日(木)


『月はどっちに出ている』(監督:崔洋一/原作:梁石日「タクシー狂操曲」/出演:岸谷五朗、忠男、ルビー・モレノ ほか/配給:シネカノン)

©︎「月はどっちに出ている」製作委員会

在日コリアンのタクシー運転手とフィリピーナの恋を軸に、在日外国人をはじめ東京に暮らす様々な人々のたくましい日常をシリアス、かつコミカルに描いた崔の代表作。原作を読んでから12年、念願の映画化に崔は「痛快さは忘れないでいよう」と意識したという。

上映期間:2023年2月23日(木)〜28日(火)


『平成無責任一家 東京デラックス』(監督:崔洋一/出演:岸谷五朗、絵沢萠子、高橋和也、岸部一徳、デーブ・久手堅 ほか/配給:東宝)

母親以下、父親の違う4兄弟は一家揃っての詐欺師。バレて夜逃げする羽目になっても懲りない一家のバイタリティー。演じる個性派俳優たちの顔ぶれも濃すぎる快コメディー。東京スカパラダイスオーケストラの音楽もマッチしている。

上映期間:2023年2月23日(木)〜28日(火)

イベント情報
『崔洋一 追悼特集上映』

常に境界線に立ち続けた表現者、映画監督・崔洋一。2022年に逝去した崔を偲び、第1弾は10作品を上映する。上映作品は、劇場映画監督デビュー作となった映画『十階のモスキート』、脚光を浴びるきっかけとなった『月はどっちに出ている』のほか、『Aサインデイズ』『クイール』『友よ、静かに瞑れ』『いつか誰かが殺される』『マークスの山』『黒いドレスの女』『豚の報い』『平成無責任一家 東京デラックス』。第2弾は現在準備中。遺作となったドキュメンタリー映画『松田優作・メモリアル・ライブ』『優作について私が知っている二、三の事柄』などを上映予定。

第1弾:2023年2月19日(日)〜3月2日(木) 池袋・新文芸坐にて公開

公式サイト shin-bungeiza.com