『プライマ・フェイシィ』の初演は、グリフィン・シアターです。そのシアターはオーストラリアの劇作家のための劇場で、特別公演として1ステージだけ、法律に携わる女性に向けて上演しました。その夜の観客は、女性判事、QC(品質管理)、SC(法務・コンプライアンス)、法廷弁護士(バリスタ)、事務弁護士(ソリスタ)、州議会と連邦議会の政治家たちでした。全員が女性です。
公演後には、私はステージに上がり、この作品についてディスカッションを行いました。長い、白熱した議論が私の前で展開し、それは、芸術と社会的な改革がまさに交差する時間でした。また、その週の後半には、法改正委員会のメンバーが平日のマチネの回に見にきてくれたのです。さらにその週の後半には、教師と親たちの引率付きで、数校の男子校の生徒さんたちにもこの舞台を観てもらうことができました。思いやりと知りたいと思う好奇心が、未来の世代にとって希望の灯火になりました。
『プライマ・フェイシィ』の主人公テッサ・エンスラーは若く正義感に燃える刑事法廷弁護士で、法と対峙することに没頭しています。自分が正しいと信じることのために戦い、社会的正義感に満ちているのです。彼女は一流校の出身でも、いわゆる社会的富裕層の出身でもありません。しかし、彼女は不利な立場からロースクールを主席で卒業し、大手事務所からの注目も高く、就職のオファーもありましたが、よりチャレンジングな道を選びました。それは常に依頼人の弁護のために、警察と彼らの手口を警戒しながら、正々堂々と法の下で正義のために戦う刑事裁判の道です。
法制度とは、極めて神聖なルールの下で与えられた役割をしっかり演じ切ることで成立する世界です。そのルールに則り出世の階段を登った時、そのゲームの絶対的なルールを、むしろ変えたり、壊したりしたほうがいいと気づいてしまった時、そして法律は常に公平だとは限らないという現実に直面した時、何が起こるのでしょうか?
弁護士として名を上げていくテッサ。しかし、法の世界のルールに則って慎重に采配を振るってきた彼女の信念が次第に揺らぎ始めます。彼女は、実体験と法制度の間の溝にハマってしまうのです。突然、彼女自身、法制度を試すような事態に陥り、いっぺんの隙もなかった信念の壁が崩れ始め、寄るすべがなくなってしまいます。しかし、このことによってテッサは、法律の性質、人間の行動の不完全さ、そして常に変わっていく社会の流れが見え、自分の声を見つけ、私たちに行動を起こすように呼びかけるようになるのです。
主人公テッサは若く優秀な法廷弁護士で、労働者階級から身を起こし、ひたすら戦い続けてトップクラスの弁護士になった。しかし予期せぬ出来事で、彼女は家父長的な法の力、立証責任、モラルの境界線などといった法律と社会が抱える矛盾などに直面する。
演出:ジャスティン・マーティン
主演:ジョディ・カマー
配給・宣伝:カルチャヴィル
2022年8月5日(金) 劇場公開
公式サイト ntlive.jp/primafacie