イタリアの異端児 ピエル・パオロ・パゾリーニの生誕100年を記念し、『テオレマ 4Kスキャン版』と『王女メディア』の2作品を3月4日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開される。
映画監督のみならず、作家、詩人、批評家などさまざまな顔を持ち、1975年に突如この世を去ったピエル・パオロ・パゾリーニ。フェデリコ・フェリーニ監督『カリビアの夜』(57) やベルナルド・ベルトルッチ監督のデビュー作『殺し』(62)など数多くの脚本を手掛け、61年に『アッカトーネ』で映画監督デビュー。ローマのスラム街から神話世界まで、映画作品における作風は多岐にわたり、ダルデンヌ兄弟(『その手に触れるまで』)やミヒャエル・ハネケ(『ハッピーエンド』) 、パブロ・ラライン(『スペンサー』) 、ミア・ハンセン=ラヴ(『未来よ こんにちは』) 、そしてアリーチェ・ロルヴァケル(『幸福なラザロ』)など巨匠から若き才能まで幅広い映画作家たちを魅了し、没後45年以上の時を経た今もなお影響を与え続けている。
本特集では、劇場初公開以来ほとんど上映される機会のなかった2作品をデジタルリマスター素材で上映。2作品を合わせた特別予告映像が公開された。
1本目は、第29回ヴェネチア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した『テオレマ 4Kスキャン版』。ブルジョワ一家の前に現れる謎の青年を名優テレンス・スタンプが演じ、青年に翻弄される一家の娘をアンヌ・ヴィアゼムスキー、母をシルヴァーナ・マンガーノが演じている。ヴェネチア映画祭での上映ボイコット騒動や、猥褻罪による裁判沙汰が話題を呼び大ヒットとなった問題作。
2本目は、永遠のディーヴァ マリア・カラスが主演した『王女メディア』。それまで映画のオファーを一切断り続けていたカラスが出演を承諾した唯一の映画主演作であり、劇中ではその歌を封印し、女優として、報復に燃える神話世界の王女を熱演した貴重な一作だ。アルベルト・モラヴィアの妻であり作家のエルサ・モランテが音楽監修を務め、日本の地唄や筝曲が印象的に使われる点も注目の作品。
映画評論家の町山智浩氏は、「『テオレマ』はテレンス・スタンプの魅力が魔術となった奇跡の映画。『王女メディア』は能の『道成寺』のような情念が国境や時代を超える。パゾリーニの脂が乗りきった傑作二本立て!」とコメント。
ピエル・パオロ・パゾリーニ生誕100年記念特集は、『テオレマ 4Kスキャン版』『王女メディア』は、3月4日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開。
北イタリアの大都市、ミラノ郊外の大邸宅に暮らす裕福な一家の前に、ある日突然見知らぬ美しい青年が現れる。父親は多くの労働者を抱える大工場の持ち主。その夫に寄りそう美しい妻と無邪気な息子と娘、そして女中。何の前触れもなく同居を始めたその青年は、それぞれを魅了し、関係を持つことで、ブルジョワの穏やかな日々をかき乱していく。青年の性的魅力と、神聖な不可解さに挑発され、狂わされた家族たちは、青年が去ると同時に崩壊の道を辿っていく‥‥。
原案・監督・脚本 : ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演 : テレンス・スタンプ、シルヴァーナ・マンガーノ、アンヌ・ヴィアゼムスキー
配給:ザジフィルムズ
©1985 – Mondo TV S.p.A.
2022年3月4日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
公式サイト zaziefilms.com/ppp2022/
イオルコス国王の遺児イアソンは、父の王位を奪った叔父ペリアスに王位返還を求める。叔父から未開の国コルキスにある〈金の羊皮〉を手に入れることを条件に出され旅に出たイアソンは、コルキス国王の娘メディアの心を射止めて〈金の羊皮〉の奪還に成功。しかし祖国に戻ったイアソンは王位返還の約束を反故にされ、メディアと共に隣国コリントスへ。そこで国王に見込まれたイアソンは、メディアを裏切って国王の娘と婚約してしまう。メディアは復讐を誓い‥‥。
監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演:マリア・カラス、ジュゼッペ・ジェンティーレ、マッシモ・ジロッティ
配給:ザジフィルムズ
©1985 – Mondo TV S.p.A.
2022年3月4日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
公式サイト zaziefilms.com/ppp2022/