フィリダ・ロイド監督のインタビュー動画が到着!
英国演劇界を代表する舞台演出家であるフィリダ・ロイドは1999年に傑作ミュージカル「マンマ・ミーア!」演出を手がけ、その映画版としてメリル・ストリープ主演で『マンマ・ミーア!』(08)を監督。
50歳を過ぎての劇場長編初メガホンながら『マンマ・ミーア!』はゴールデン・グローブ賞作品賞、英国アカデミー賞英国作品賞にノミネートされ世界的な大ヒットとなった。
続く『マーガレット・サッチャー鉄の女の涙』(11)では、再び主演に迎えたメリル・ストリープをアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の主演女優賞に導いた。
それから約10年、待望の三作目に彼女が選んだのは、アイルランド出身の舞台女優で映画界ではほぼ無名のクレア・ダンが初めて書いた脚本だった。
ロイド監督は2012年から手掛けたオール女性キャストのシェイクスピア劇三部作でクレア・ダンの演技力を評価し、大役をキャスティングしている。
本作を監督することになったきっかけを質問すると、その舞台公演中のことだと明かした。
「ニューヨークでの公演中、クレアに言われました。”私が書いている脚本を読んでくれない?意見を聞かせて欲しい“と。彼女が初めて書いた脚本だと知っていたので、読んでみて衝撃を受けました。何より驚いたのは彼女が言葉と映像のバランスを理解していたことです。初めて脚本を書いた人とは思えないバランス感覚でした。セリフが驚くほどリアルでクレアのダブリンでの日常が表れていました」
しかし、ロイド監督は自身がメガホンを取るつもりはなかったそうだ。
「最初は私が監督するとは思っていませんでした。アイルランド人が監督すると思っていたんです。だから私は友人として意見を言っただけでした。そして脚本の開発が進んでいき、ある人が私に言ったんです。“クレアが書いた役はすばらしい。スターにふさわしい役だ”と。私は思いました。クレアが自分で演じるんじゃないの?と。クレアの出演が保証されるなら私が監督したいと思いました。どんどん脚本に引き込まれ意志が固まりました。そうしてクレアが主導権を維持できるようにしたんです」
どの作品もスターをキャスティングすることが成功への近道である。しかしロイド監督はこのサンドラという役はまさに原題と同じクレア自身(“Herself”)が演じることが重要だと主張した。
新しい才能にチャンスを与えたいというロイド監督の強い想いがなければ本作は生まれなかったかもしれない。
サンドラというキャラクターについては「彼女はコミュニティーから切り離された女性です。DV被害者の女性の多くが家族や友人から孤立しています。そんな女性がコミュニティーを見つけてその中で自分を建て直すんです」と、テーマと共に語る。
本作では実際にサンドラの家が建設される過程を見ることができるのも大きな見どころだが、そのことについて尋ねると、「家が建っていく様子を見るのは神秘的な体験でした。俳優たちは毎日のように“すごい!”と驚いていました。彼らは作業をするうちにどんどん自信をつけ、本物の大工のように演じてくれました。家は生き物のようでした」と撮影現場の楽しそうな様子を振り返った。
そして「一番嬉しかったのはこう言われた時です。“これは映画じゃない、彼らは俳優じゃない”これは俳優の友人の言葉です。映画に入り込みすぎて現実だと思ったそうです。サンドラは実際に裁判中だとね。私が誇りに思うのは映画的な演出をできる限り使わないようにしたことです。観客に彼らと一体になってほしかったんです。クレアの演技をとても誇りに思います。彼女の勇気と信念に観客は目がくらむことでしょう」と、クレア・ダンを絶賛した。
常に強く魅力的な女性を描いてきたフィリダ・ロイド監督が贈る、優しさと希望に満ちた物語『サンドラの小さな家』に乞うご期待!
4月2日(金) 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
【STORY】
シングルマザーのサンドラ(クレア・ダン)は、2人の幼い子どもたちと共に、虐待をする夫のもとから逃げ出すが、公営住宅には長い順番待ち、ホテルでの仮住まいの生活から抜け出せない。ある日、娘との会話から小さな家を自分で建てるというアイデアを思いつく。サンドラはインターネットでセルフビルドの設計図を見つけ、清掃人として働いている家のペギー(ハリエット・ウォルター)、建設業者のエイド(コンリース・ヒル)など、思いがけない人々の協力を得て、家の建設に取り掛かる。しかし、束縛の強い元夫の妨害にあい…。サンドラは自分の人生を再建することができるのだろうか?
監督:フィリダ・ロイド『マンマ・ミーア!』、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
共同脚本:クレア・ダン、マルコム・キャンベル『リチャードの秘密』
出演:
クレア・ダン
ハリエット・ウォルター『つぐない』
コンリース・ヒル「ゲーム・オブ・スローンズ」
2020年/アイルランド・イギリス/英語/97min/スコープ/カラー/5.1ch/
原題:herself/日本語字幕:髙内朝子
提供:ニューセレクト、アスミック・エース、ロングライド
配給:ロングライド
公式サイト:https://longride.jp/herself/
©Element Pictures, Herself Film Productions, Fís Eireann/Screen Ireland, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute 2020
4月2日(金) 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開