1974年3月、終戦後約30年の時を経て帰還し「最後の日本兵」と呼ばれ、社会現象になった旧陸軍少尉・小野田寛郎(おのだ ひろお)の潜伏期間の史実を元に着想を得て映画化された映画『ONODA 一万夜を越えて』。
本年度のカンヌ国際映画祭ではキャスト一同が現地に駆けつけることが叶わなかったが、本日10月5日(火)にフランス大使館公邸で行われた本作の公開直前記者発表会にて、主演の遠藤雄弥、津田寛治、共演の仲野太賀、松浦祐也、カトウシンスケ、井之脇海、イッセー尾形が出席し、初めて主要キャストが一堂に会した。
まずは、この場で初公開となった特報映像第2弾が上映され、コロナ禍の影響により来日が叶わなかったアルチュール・アラリ監督から「皆さんと出会い、作品を作れたことは僕の誇り。これほどの豊かなコラボレーションは二度とできない。本作は僕たちの汗と涙の結晶」とビデオメッセージが寄せられた。
青年期の小野田寛郎を演じた遠藤は、「久々にキャストの皆さんと再会できたのが嬉しい」と満面の笑み。成年期の小野田寛郎を演じた津田は「世界で描かれるのは悪役の日本兵。日本で描かれるのはテンションの高い大和魂の日本兵。しかし本作ではそのどれにも属さない稀有な存在の日本兵が描かれている。現代の日本を生きる我々のグルーヴ感とシンクロしている。」と日本公開にワクワク。また、「この作品との出会いは、僕の俳優人生においても芝居を考える上での大きな転機になった。その後の仕事のやり方も大きく変わった。まさに人生の転機になった作品」と思い入れを口にした。
仲野は「時間を経て小野田さんのことをアルチュール監督が再び発見してくれた。カンボジアで撮影し、フランスに渡り、そして日本に帰ってきた。その一端を担えたことが光栄」としみじみ。松浦は「映画作りはどこの国でも同じ。言語問題も優秀な通訳者のお陰で監督の細かいニュアンスまで伝えてくれて楽しかった」と報告。
カトウは「撮影では僕たちの人生がぶつかり合い、絡まり合った印象がある。クランクアップを迎えた際は、俳優としてのクライマックスを迎えたというか、自分の人生の集大成だとも思えた。それくらい自分の人生が役に昇華された印象。」と充実した表情。井之脇は「監督は役者の体の状態や心の状態を重視するので、よくジャングルを走らされた。『君らの足音が近づいてきたらカメラを回す』と言われたので僕としては2分くらい走るのかな?と思ったら、遠藤さんが10分以上走り続けて…」と苦労を滲ませて笑わせた。イッセーは「映画を見ると、小野田の体験を追体験してしまう。言葉にならない余韻が体や皮膚にいまだ鳴り響く。今のコロナ禍での時期に公開されることは意義がある」と熱弁。
津田は「撮影期間中の僕はナッツしか食べず、滞在先の近くにアスレチック公園があったので、子供たちの列に混じって小野田さんの体格を維持していた」と厳しい減量によって作られた肉体秘話を明かした。一方の遠藤は「カンボジア入りの前に痩せすぎて、撮影地に入った途端に監督から『痩せすぎ!3キロくらい太って』と言われた」と自らのストイックぶりに苦笑いだった。
最後に遠藤は「毎日がクライマックスのような撮影の日々で、プロフェッショナル達による汗と涙の結晶。それが日本公開されるのは感無量。人としての在り方を問われる作品」とアピール。津田も「今の日本の若い世代がいまだかつてない戦争が題材の映画をどう捉えるか。僕の思いと同じだったら嬉しい」と念願の日本公開に期待を込めていた。
映画『ONODA 一万夜を越えて』は、2021年10月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
フランスで出版された小野田少尉の自伝「ONODA 30 ans seul en guerre(原題)」(Bernard Cendoron 著)を原案に映画化。実在の人物である小野田寛郎(おのだ ひろお)旧陸軍少尉が、太平洋戦争の終わりを迎えた後も任務解除の命令を受けられないまま、フィリピン・ルバング島にて約30年間の孤独な日々を過ごした実話を元に描かれた。
監督:アルチュール・アラリ
出演:遠藤雄弥、津田寛治、仲野太賀、松浦祐也、千葉哲也、カトウシンスケ、井之脇海、足立智充、吉岡睦雄、伊島空、森岡龍、諏訪敦彦、嶋田久作、イッセー尾形
配給:エレファントハウス
©2021映画『ONODA』フィルム・パートナーズ(CHIPANGU、朝日新聞社、ロウタス)
2021年10月8日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
公式サイト onoda-movie.com