記録映画『越後奥三面―山に生かされた日々』デジタルリマスター版が全国順次公開される。この度、本作のデジタルリマスター版映像による予告映像、ポスタービジュアル、場面写真が公開された。
新潟県の北部、朝日連峰の懐深くに位置する奥三面。人々は山にとりつき、縄文時代から山の恵みを受けて暮らしつづけてきた。冬、深い雪におおわれた山では、ウサギなどの小動物、そして熊を狩る。春には山菜採りが始まる。奥三面は縄文時代から人が住む、歴史の古い村でもある。夏は、かつて焼畑の季節だった。川では仕掛けやヤスでサケ・マス・イワナを捕らえる。秋には、木の実やキノコ採り。そして仕掛けや鉄砲による熊狩りが行われる。人々は30,000haに及ぶ広大な山地をくまなく利用して生きてきた。
そんな奥三面がダムの底に沈むと耳にした記録スタッフは、ダム建設による閉村を前に、一軒の家と畑を借り、山の四季に見事に対応した奥三面の生活を追った。
本作を手掛けたのは、記録映画作家・映像民俗学者として知られる姫田忠義率いる民族文化映像研究所(民映研)。 1976年の創設以来、日本列島の津々浦々に伝わる生活や民俗を撮影し、2013年に姫田が没するまでに、フィルム作品119本、ビデオ作品150本にのぼる膨大な記録映画を残した。
山の恵みを細大漏らさず利用する生活が奇跡のように保たれていた奥三面に瞠目した姫田たちが、1980年から4年をかけて撮影した本作は、ダム建設による閉村という事件は後景に退き、村人が連綿とつづけてきた山の生活のあり方をただひたすら、几帳面に記録する。昭和の終わりまで自然に寄り添う暮らしをつづけてきた村の最後の姿を、まるごとフィルムで残したいという執念により、世界にも類を見ない記録映画が完成した。
2013年7月29日に姫田は84歳で逝去。その没後10年となる2023年の節目には、東京お茶の水にあるアテネ・フランセ文化センターで初めての大規模回顧上映「没後10年 姫田忠義回顧上映」が開催された。その目玉として披露された本作『越後奥三面ー山に生かされた日々』のデジタルリマスター版が、完成後40年を経て、多くの観客のもとに届けられる。
映画『越後奥三面―山に生かされた日々』は、2024年4月27日(土)より全国順次公開。
昭和の終わりまで、新潟県の最奥に奇跡のように残されていた山村 奥三面。人々は山に生かされ、山を支えにして暮らしてきた。ダムに沈む村の最後の姿が、40年の時を経てよみがえる。
スタッフ:姫田忠義・小泉修吉・伊藤碩男・澤幡正範・中川邦彦・鈴木正義・西別府出・田口洋美・小原信之・山本則子・伊藤琴・千葉寛・堀田泰寛・渕上拳
配給:民族文化映像研究所
©️民族文化映像研究所
2024年4月27日(土) ポレポレ東中野にてロードショー 全国順次公開