Mar 27, 2024 news

『ソハの地下水道』『太陽と月に背いて』のアグニエシュカ・ホランド監督が描く‟人間の兵器”として扱われる難民家族の過酷な運命 映画『人間の境界』

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2023年ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門で上映され、審査員特別賞を受賞、喝采を浴びるとともに物議を醸し、ヨーロッパのみならず世界中で激しい論争を巻き起こした、映画『人間の境界』が公開される。

本作は、ポーランドとベラルーシの国境で‟人間の兵器”として扱われる難民家族の過酷な運命を描いた衝撃作。2023年ヴェネチア映画祭コンペティション部門では、その複雑かつスリリングで息をもつかせない展開が、モノクロームの圧巻の映像美とともに絶賛を集め、審査員特別賞を受賞。ロッテルダム国際映画祭の観客賞をはじめ、これまでに18の賞を受賞、20のノミネートを果たし、世界各国の映画祭で高い評価を獲得している。

監督を務めるのは、3度のオスカーノミネート歴を持ち『ソハの地下水道』『太陽と月に背いて』などの名作を世に送り出してきたポーランドの巨匠アグニエシュカ・ホランド。

本作の原題「Zielona Granica」は「緑の国境(地帯)」を意味し、森林の中に人為的に引かれた国境線を指す。ポーランド語の辞書には「緑の国境を越える」という言葉が長年熟語として登録され、その意味は「政府の許可な非合法に越境すること」と説明される一方、国境検査の必要がない国境を指すこともあるという。映画に登場するシリア人家族や多くの難民たちは‟緑の国境”を越えて、自由な世界=EUを目指すが、終わりのない無間地獄のような森に囚われてしまう。

ホランド監督は、この事態を目の当たりにし「ワルシャワから3時間たらずの場所で、難民は彼らの運命を左右する人道的大惨事に直面している。私はその事実に心を動かされました。彼らの状況に象徴的なものを痛切に感じ、そしておそらくは、私たちの世界の道徳的・政治的崩壊につながりかねないドラマの前日譚を見たのです」と、本作を製作することを決意した理由を振り返る。

映画『人間の境界』は、2024年5月3日(金・祝)より全国順次ロードショー。

作品情報
映画『人間の境界』

「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出した、幼い子どもを連れたシリア人家族。しかし、亡命を求め国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した国境警備隊だった。

監督:アグニエシュカ・ホランド

出演:ジャラル・アルタウィル、マヤ・オスタシェフスカ

配給:トランスフォーマー

©2023 Metro Lato Sp. z o.o., Blick Productions SAS, Marlene Film Production s.r.o., Beluga Tree SA, Canal+ Polska S.A., dFlights Sp. z o.o., Česká televize, Mazovia Institute of Culture

2024年5月3日(金・祝) TOHOシネマズ シャンテ他全国順次ロードショー

公式サイト transformer.co.jp/m/ningennokyoukai/