第77回ヴェネチア国際映画祭オープニング作品、映画『靴ひものロンド』の日本版予告映像が公開された。
本作は「ニューヨーク・タイムズ」2017年「注目の本」に選出され、全米で絶賛された家族小説を原作に、イタリアの名匠ダニエーレ・ルケッティが映画化したもの。
舞台は1980年初頭ナポリ。家族そろって出かけ、食卓を囲み、テレビを観て一日を終える。そんな4人家族の平穏な暮らしは、夫のひと言で終わりを告げた。
「女性と関係をもった」と浮気を告白するアルド。予想だにしなかった愛する人の言葉、態度に妻のヴァンダは強烈な一撃をくらわし、夫を家から追い出した。その日を境に、家族の生活は一変する。
1980年代と現代、2つの時代を織り交ぜて物語は進んでゆく。そして30年後、夫婦は夏のバカンスへ。留守中に荒らされた家、飼い猫の失踪。突如起きた不穏な出来事をきっかけに夫婦、親子、それぞれが胸にしまっていた秘密と嘘がいま、溢れ出す。
予告映像の冒頭には、本作を一足先に鑑賞した、作家の角田光代がコメント。
「愛も自由も、こんなにおそろしいしっぺ返しとなって戻ってくる。 夫婦の、家族の、いや、人間というものの底知れなさを思い知る」
ーー 角田光代(作家)
ナレーションを務めたのは、元TBSアナウンサーで朗読のスペシャリストでもあるフリーアナウンサーの堀井美香。
子供たちが静かに見つめるなか、もつれなだれ込む修羅場の数々。妻であり母でもあるヴァンダの胸中を彼女の柔らかで芯の強い声色が、辛辣なだけでは終わらない軽やかさとポジティブな印象を与えている。
愚かしくも愛おしい人間ドラマに出演するのは、唯一無二の存在感を放つアルバ・ロルヴァケル(『幸福なラザロ』『おとなの事情』)。彼女の相手役として、巨匠マルコ・ベロッキオから俊英の若手監督までを虜にする実力派ルイジ・ロ・カーショ(「いつだってやめられる」シリーズ、『夜よ、こんにちは』)が若かりし日の夫婦を、そして熟練の名優ラウラ・モランテ(『息子の部屋』)、シルヴィオ・オルランド(『息子の部屋』『ボローニャの夕暮れ』)が老年期の夫婦を演じる。イタリア映画界の実力派オールスターキャストがここに集結した。
ほどいて、結んで、を繰り返す、めちゃくちゃな家族の不気味な崩壊と衝撃。 切っても切れない夫婦であり親子の本当の姿に、突き抜けた爽快感と余韻が巡る。
映画『靴ひものロンド』は、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか9月9日(金)より全国順次ロードショー。
1980年初頭のナポリ。ラジオ朗読のホストを務めるアルドと妻ヴァンダ、アンナとサンドロの2人の子供たちの平穏な暮らしは、夫の浮気で終わりを告げた。家族の元を去ったアルドは、定期的に子供たちに会いに来るがヴァンダはすべてが気にいらない。次第にヴァンダの精神状態は不安定になり、その行動もエスカレートしていく。衝突ばかりの両親の狭間でアンナとサンドロは母に寄り添うのだった。混沌とした数年を経て、家族は些細なきっかけでふたたび共に暮らし始めるが‥‥。月日は流れ、冷え切った関係のまま老齢を迎えた夫婦は夏のバカンスへ。1週間後に自宅へ戻ると家はひどく荒らされ、飼い猫は失踪していた。
監督・脚本・編集:ダニエーレ・ルケッティ
原作:ドメニコ・スタルノーネ「靴ひも」(関口英子訳、新潮クレスト・ブックス刊)
出演:アルバ・ロルヴァケル、ルイジ・ロ・カーショ、ラウラ・モランテ、シルヴィオ・オルランド
配給:樂舎
©Photo Glanini Fiorito/Design Benjamin Seznec/TROIKA ©2020 IBC Movie
2022年9月9日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
公式サイト kutsuhimonorondo.jp