2012年に制作した『端ノ向フ』を第66回カンヌ国際映画祭のSHORT FILM CORNER部門に出品するなど長年にわたり個人映像作家として活動してきた塚原重義監督による長編アニメーション、映画『クラユカバ』『クラメルカガリ』。この度、2作品の公開直前最終予告映像が公開された。
『クラユカバ』は、塚原監督による初めての長編アニメーション映画。2023年、構想から10年を経て完成した『クラユカバ』はファンタジア国際映画祭に出品され、長編アニメーション部門の「観客賞・金賞」を受賞。国際的な映画祭で高い評価を集め、日本での凱旋劇場公開が決定した。主人公・荘太郎役を演じるのは、講談師の六代目神田伯山。
一方、『クラメルカガリ』は、成田良悟が『クラユカバ』のスピンオフ小説として執筆したシナリオを原案として制作された。炭鉱の町「箱庭」を舞台に、日々迷宮のように変化する町を地図に記す「地図屋」を営む少女・カガリが、風変わりな町の人々とともに活躍する、痛快群像エンターテインメント。主人公 カガリ役を「僕のヒーローアカデミア」の麗日お茶子役や「め組の大吾 救国のオレンジ」の中村雪役で知られる佐倉綾音が務める。
そしてこの度、『クラメルカガリ』から2体のキャラクターが解禁された。‟公共のため”と大見得を切り、奇天烈な発明品の制作を繰り返し“箱庭”の片隅で機械修理工房を営む老翁・朽縄と、朽縄の孫にあたる無口な少女、ササラ。朽縄役を務めるのは『天空の城ラピュタ』のムスカ役で知られる寺田農。ササラ役を川井田夏海が務める。
2024年3月23日に所属事務所であるCESエンタテインメントより発表された寺田の訃報を受け、監督の塚原重義と『クラメルカガリ』シナリオ原案の成田良悟から、追悼メッセージ言葉が寄せられた。
【寺田農さん追悼メッセージ】
▼『クラメルカガリ』原作・脚本・監督 塚原重義
「これは好きな作品」「実相寺を思い出すね」顔合わせの時、はじめに頂いた言葉に震えました。「ウルトラQザ・ムービー星の伝説」の山根、「ラピュタ」のムスカ、「肉弾」のあいつ、「赤毛」の三次、「狙われない街」‥‥。思えば、貴殿の存在を意識する前も後も沢山の”寺田農たち”と出会ってきた人生でした。そして、本作のもう1人の主人公・朽縄は僕の作家人生においてかけがえの無いキャラクターとなりました。寺田さん、素敵な名演をありがとうございました。どうか、安らかに。またいつか、どこかで。
▼『クラメルカガリ』シナリオ原案 成田良悟
寺田さんは私が子供の頃から観ていた数々の刑事ドラマ、時代劇に出演なさっていた方で、「鎧武/ガイム外伝 仮面ライダー斬月」でお姿を見かけた事も記憶に新しいです。そんな大ベテランの方が私の関わるアニメーション映画に声を当てて下さるというのは、とても光栄な事でした。実際にアフレコを拝聴させて頂いた時は、数種類の声や演技を使い分けて役に調整して下さり、「80才を超えてここまで様々な声を出せるのか」と驚きつつ、頭の中に「生涯現役」の文字が浮かび、純粋な憧れを思い浮かべた事を記憶しています。
その数ヶ月後に飛び込んできた此度の知らせに衝撃を受けましたが、病魔と闘いながらあの演技を努めて下さった事に深い感謝を抱きました。 寺田さんは、生涯現役を貫き通されたのです。その輝かしい歴史の中において、クラメルカガリの朽縄というキャラクターに素晴らしい演技で魂を宿して頂いた事への感謝と共に、冥福をお祈り申し上げます。本当にありがとうございました。どうか良き旅路を。
映画『クラユカバ』『クラメルカガリ』は、2024年4月12日(金)より2作品同時公開。
※塚原重義監督の「塚」は旧字体が正式表記
世間を惑わす”集団失踪”の怪奇に、探偵・荘太郎が対峙する。目撃者なし、意図も不明。その足取りに必ず現る”不気味な轍”の正体とは…。手がかりを求め、探偵は街の地下領域”クラガリ”へと潜り込む。そこに驀進する黒鐵の装甲列車と、その指揮官タンネとの邂逅が、探偵の運命を大きく揺れ動かしていく。
原作・脚本・監督:塚原重義
キャスト:神田伯山、黒沢ともよ、芹澤優、坂本頼光、佐藤せつじ、狩野翔、西山野園美
配給:東京テアトル、ツインエンジン
©塚原重義/クラガリ映畫協會
2024年4月12日(金) 公開
零細採掘業者がひしめく炭砿町、通称“箱庭”。日々迷宮の如く変化するこの町で地図屋を営む少女、カガリ。“箱庭”からの脱却を夢想する幼馴染おのユウヤ。昨今この町で頻発する不審な”陥没事故”は、次第にふたりの日常を侵食し始める。
原作・脚本・監督:塚原重義
キャスト:佐倉綾音、榊原優希、大塚剛央、細谷佳正、森なな子、悠木碧
配給:東京テアトル、ツインエンジン
©塚原重義/クラガリ映畫協會
2024年4月12日(金) 公開