第72回ベルリン国際映画祭ほか21の映画祭に出品され、世界が熱視線を送る映画『ケイコ 目を澄ませて』。本作は、聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て、『きみの鳥はうたえる』の三宅唱監督が新たに生み出した物語。
2月に開催されたベルリン国際映画祭でプレミア上映されると「すべての瞬間が心に響く」「間違いなく一見の価値あり」と熱い賛辞が次々に贈られ、その後も数多くの国際映画祭での上映が続いている。
主人公・ケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨み、新境地を切り開く。そして、ケイコの実直さを誰よりも認め見守るジムの会長に、日本映画界を牽引する三浦友和。その他、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子など実力派キャストが脇を固める。
この度、ケイコ(岸井ゆきの)の様々な表情を切り取ったアザービジュアル6種が公開された。リングサイドに座り、内なる情熱を感じさせる眼差しを向けた従来のポスタービジュアルよりも、さらにケイコの様々な表情を切り取り、彼女の心の揺れ〈不安や迷い、喜びや情熱〉といったたくさんの感情を想起させるものが並ぶ。
なかでも、目の上から血を流しリングの上での激戦の熱量そのままに闘志むき出しの鋭い視線をむけるビジュアルと、リングを降りた日常の中で物思いにふけるように一点を見つめる儚げな横顔をおさえたビジュアルの2点は、まさに〈動〉と〈静〉を体現したような、別人級のギャップを感じさせる。同じケイコというひとりの女性をこれだけの振り幅を持って演じる岸井の凄みに圧倒される。
ビジュアル内には、既に解禁となっている著名人からのコメントを一部抜粋したものと、「ケイコ、29歳。耳が聞こえないプロボクサー。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえない中、不安や迷い、喜びや情熱を抱き、前を向く――」というコピーが躍る。
痛いのは嫌い、でもボクシングは好き。逃げ出したい、でも諦めたくない。矛盾した気持ちを抱え、自分の中でたくさんの想いに折り合いをつけながら揺れ動くケイコの姿には、誰しもが自分を投影できるのではないだろうか。だからこそ、それでも一歩ずつ歩みを続ける彼女の美しい姿に目が離せない。
映画『ケイコ 目を澄ませて』は、12月16日(金)よりテアトル新宿ほか全国公開。
嘘がつけず愛想笑いが苦手なケイコは、生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ねる彼女は、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。母からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。「一度、お休みしたいです」と書き留めた会長宛ての手紙を出せずにいたある日、ジムが閉鎖されることを知り、ケイコの心が動き出す。
監督:三宅唱
原案:小笠原恵子「負けないで!」(創出版)
出演:岸井ゆきの、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中原ナナ、足立智充、清水優、丈太郎、安光隆太郎、渡辺真起子、中村優子、中島ひろ子、仙道敦子 / 三浦友和
配給・ハピネットファントム・スタジオ
©2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS
2022年12月16日(金) テアトル新宿ほかにて全国公開