企画から作品選定、上映交渉、ゲスト交渉、チラシやパンフレットの制作、そして会場運営に⾄るまで、全て現役⽇藝⽣によって行われる“⽇芸映画祭”。第⼀回の「映画祭1968」で取り上げた学⽣運動を⽪切りに、マイノリティ、宗教、⽇中・⽇韓問題など、様々な社会問題に踏み込んだテーマを取り上げている。今年11回目を迎える今回。彼らが選んだテーマは「ジェンダー・ギャップ」。
今年3⽉に「⽇本の男⼥平等指数が世界で120位」というニュースが発表され、2⽉にはJOC森前会⻑による「性差別発⾔」もあるなど、無意識な差別や偏⾒、特に男⼥差別が根強く残る国だと改めて感じたという。2017年にアメリカの映画界で始まった#MeToo運動も⽇本では拡散が弱く、学⽣たちは将来に⼤きな不安を抱えていた。
そんな彼らがたどり着いたのが「映画こそがジェンダー・ギャップの歴史」という視点。映画にはそれぞれの時代や各国の価値観が無意識に反映されており、⻑年⾒過ごされてきたジェンダー・ギャップという問題に今⼀度、映画を通じて改めて向き合いたいと企画された。
本映画祭で取り上げられるのは、主に性差に疑問や悩みを持ち、⾏動してきた“⼥性”を描いた作品。
中国の蔡楚⽣監督『新⼥性』と溝⼝健⼆監督『浪華悲歌』は、製作国こそ違えど、同時代作品においてどちらの主⼈公も⼥性であるが故に苦しい選択を迫られる物語。そして⼥性監督の筆頭であるアニエス・ヴァルダからは『5時から7時までのクレオ』を選出。また、家庭や学校での性差に悩む少⼥の繊細な⼼情を捉えたキム・ボラ監督の『はちどり』は、スタッフ全員⼀致で選ばれたという。
⽇藝映画祭で初選出となるアニメーションは、遊⼥であるリンの⽣き⽅が更に深く描かれた⽚渕須直監督の『この世界の(さらにいくつもの)⽚隅に』。
また、『RBG 最強の85才』、『この星は、私の星じゃない』のように、男⼥平等の道を切り拓いてきた⼥性のドキュメンタリー作品にも注⽬。さらに、2020年東京国際映画祭コンペティション出品作の舩橋淳監督による『ある職場』が、本映画祭でプレミア上映として公開される。
公開された本映画祭の予告映像は⽇藝⽣の制作。
「ジェンダー・ギャップ」映画祭は、ユーロスペースにて12⽉4⽇(⼟)~10⽇(⾦)の⼀週間、開催。
<上映作品>
『新女性』(蔡楚生/1935)
『浪華悲歌』(溝口健二/1936)
『赤線基地』(谷口千吉/1953)
『月は上りぬ』(田中絹代/1954)
『女が階段を上る時』(成瀬巳喜男/1960)
『5時から7時までのクレオ』(アニエス・ヴァルダ/1961)
『叫びとささやき』(イングマール・ベルイマン/1973)
『百万円と苦虫女』(タナダユキ/2008)
『ハンナ・アーレント』(マルガレーテ・フォン・トロッタ/2012)
『少女は自転車にのって』(ハイファ・アル=マンスール/2013)
『はちどり』(キム・ボラ/2018)
『RBG 最強の85才』(ジュリー・コーエン,ベッツィ・ウェスト/2018)
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(片渕須直/2019)
『この星は、私の星じゃない』(吉峯美和/2019)
『ある職場』(舩橋淳/2022)
主催:⽇本⼤学芸術学部映画学科映像表現・理論コース映画ビジネスゼミ、ユーロスペース
上映協⼒:アニモプロデュース/アルバトロス・フィルム/ギャガ/国⽴映画アーカイブ/ザジフィルムズ/松⽵/松⽵⼤⾕図書館/セテラ・インターナショナル/タイムフライズ/東京テアトル/東宝/⽇活/パンドラ/ファインフィルムズ
2021年12⽉4⽇(⼟)〜12⽉10⽇(⾦) ユーロスペースにて開催
公式サイト nichigei-eigasai.com/