第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された、映画『このろくでもない世界で』。この度、本作の主演を務めたソン・ジュンギの日本に向けたメッセージ動画と、オフィシャルインタビューが公開された。
2008年に『霜花店運命、その愛』でデビューして以来、映画、ドラマへの出演、音楽番組のMCなど、マルチな才能を発揮し活躍してきたソン・ジュンギ。日本でも「ヴィンチェンツォ」『ロ・ギワン』「財閥家の末息子〜Reborn Rich〜」など主演作が続々と配信され、どれも話題を呼んでいる。本作は、そんな彼が、主演でないにもかかわらず、自ら出演を熱望した作品。この度、ソン・ジュンギが本作への出演経緯、そして初のカンヌへの想いを語った。
「別の作品の提案を受けていて、お断りをしたことがあった。その際にどんな作品に出たいのか尋ねられ、「本当に深くて重みのある映画をやってみたい」と話した。すると「主人公ではないけれど」と渡されたのがこの映画だったんだ」。渡されたシナリオは、ヘビーな内容で、脚本を書いたキム・チャンフン監督に興味を持ち、出演を自ら希望したという。ソン・ジュンギが演じるチゴンは、地元の犯罪組織のリーダーで、主人公ヨンギュを闇の世界へ迎え入れ導く人物。貧困と暴力が蔓延る廃れた町で共に生まれ育ったもの同士、チゴンはヨンギュに過去の自分を重ね、兄弟のような、父子のような関係を築いていく。
撮影現場では、監督も主演も新人という環境の中、ソン・ジュンギはヒョン(兄貴)としての責任感を発揮。「キム・チャンフン監督と主演のホン・サビンはいずれも新人なので、バランスを取らなければいけないという責任感が少なくなかった。しかし、得るものがとても多く、自分にとっては癒される現場だった。本当にいい映画を作りたいという気持ち、映画らしい映画が作られているという確信が持てた。満足度をあげるとしたら93点くらい?心の中では89点くらいの感覚だったが、カンヌまで来たから4点追加!!(笑)俳優にとって最高の贈り物はいい作品に出会うことだという当然の事実を改めて実感した作品だ」と自信をのぞかせる。
初めてのカンヌについて話が及ぶと「正直「まさかカンヌに行けるの?」と思っていた。本当に苦労して撮影した、自分の中でとても大切な作品なので、大きなプレゼントをもらった気分だ。特に未来の巨匠を紹介する、ある視点部門に招待されてとても嬉しい」と喜びを爆発させた。本作をカンヌで初めて観るためにそれまでは鑑賞を控えていたそうで、カンヌの熱気に満ちた会場で世界の映画ファン等と共にワールドプレミアを終えて「台本を読んで感じた感情よりも深く表現されていて満足している。特に湖のシーンでヨンギュが後ろからチゴンの耳を見つめる表情を見る時、“この台本を読んだ時に感じた感情が合っていたんだな”と確信し、“この映画を選んで良かった”と思った。全てのスタッフと俳優たちに感謝し、この映画が沢山愛されることを願っている」と感想を述べた。
映画『このろくでもない世界で』は、2024年7月26日(金)より全国公開。
継父のDVに怯える18歳のヨンギュは、義理の妹ハヤンを守るために暴力沙汰を起こして高校を停学、その上、示談金を求められる。生き抜く術のないヨンギュは、地元の犯罪組織のリーダー、チゴンの門戸を叩くほかなかった。仕事という名の盗みを働き、徐々に憧れのチゴンに認められていくが、ある日、組織の非情な掟に背いてしまう。
監督・脚本:キム・チャンフン
出演:ホン・サビン、ソン・ジュンギ、キム・ヒョンソ(BIBI)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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2024年7月26日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開