コロナ禍のインドで配信公開され、大きな話題となった映画『グレート・インディアン・キッチン』。センシティブな宗教問題を含んでいたため大手配信会社に拒絶され、無名の配信サービスで大掛かりな宣伝などなくひっそりと公開されたにもかかわらず、視聴者からのクチコミでSNSに共感の声が広がり、配信会社のサーバがダウンするほどの話題となった。
物語の主人公は、名前を持たない「妻」と「夫」。インド南西部のケーララ州で、古くからのインドの風習に従い、お見合いで結婚した高カーストの男女。中東で育ち、モダンな生活様式に慣れていた妻は、夫と義理の両親が暮らす由緒ある邸宅に入り、温和な姑の下で家事のあれこれを学んでいく。結婚後まもない時期に、姑は嫁いだ娘の出産準備のため家を離れる。舅は家電の使用を嫌い、夫は作りたての手料理を好む。通いの家政婦もいない家で、妻はミキサーや洗濯機を使うことを許されず、一人で家事全般を受け持つこととなる。「妻」が家事から解放されるのは、「穢れ」であるため、小部屋で一人隔離されて過ごす、生理の期間だけだった。
この度、ジヨー・ベービ監督からの撮りおろしメッセージ映像が公開された。
本映像でジヨー監督は、「本作の多くがキッチンと家の中での出来事で、キッチンそして家全体が女性にとって牢獄のようなもの」と、簡潔な言葉で作品の本質を説明しており、本作のテーマへの監督の強い思いが感じられる。日本でのイベント上映時でも、多くの観客から「これはインドだけの問題ではない」と支持された。
映画『グレート・インディアン・キッチン』は1月21日(金)より新宿ピカデリー他にて全国順次公開。
ケーララ州北部のカリカットの町で、高位カーストの男女がお見合いで結婚する。夫は由緒ある家柄の出で、伝統的な邸宅に暮らしている。中東育ちでモダンな生活様式に馴染んだ妻は、夫とその両親とが同居する婚家に入るが、台所と寝室で男たちに奉仕するだけの生活に疑問を持ち始める。教育を受けた若い女性が、家父長制とミソジニー(女性嫌悪)に直面して味わうフラストレーションをドキュメンタリー的タッチで描く。
監督:ジヨー・ベービ
出演:ニミシャ・サジャヤン、スラージ・ヴェニャーラムード
配給:SPACEBOX
©Cinema Cooks, ©Mankind Cinemas, ©Symmetry Cinemas
2022年1月21日(金) 新宿ピカデリー他全国順次公開
公式HP tgik-movie.jp