『グランド・ブダペスト・ホテル』でアカデミー賞4部門受賞したことでも知られ、第79回ゴールデングローブ賞にてアレクサンドル・デスプラが作曲賞にノミネートされたウェス・アンダーソン監督待望の最新作、映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』。『ダージリン急行』(07)、『ファンタスティック Mr.FOX』(10)、『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)、『犬ヶ島』(18)といった名作の数々を生み出したウェス・アンダーソン監督の記念すべき長編第10作目を飾る最新作の舞台は、20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。
本作公開が前日に迫った1月27日(木)、本作の前夜祭ファンイベントが開催された。ウェス・アンダーソン本人がライブ配信でイベントに登場するということもあって、会場には熱狂的なウェスファンが大集結。まさに最新作を鑑賞した上映後のイベントということで会場の興奮も冷めやらぬ中、まずは、前夜祭を共に迎えるにふさわしいスペシャルゲストとして、ウェスと長年にわたる親交があり、日本を舞台とした前作『犬ヶ島』では、原案、キャスティング、声の出演も担当した野村訓市氏がスクリーンに登場。
約4年前にウェスが『犬ヶ島』で来日した際もプロモーションを共にしていた野村氏。当時のエピソードについて「彼は2、3週間ほど日本にいて、ほとんど毎日一緒に過ごしていたが、ホテルに迎えに行ったときにバスローブでタイピングをしていて。何をしているのか聞くと、“次のアイデア(『フレンチ・ディスパッチ』)だ”と言っていて、もう働いているの?と会話をした記憶がある。その後、最初のシーンを撮っているときに私もちょうどパリにいて、一緒に食事に行ったときにオーウェン(・ウィルソン)が“僕のシーンはもう撮り終わった”と。どんな映画なの?って聞いたら、“わからない。ウェスの映画というのはウェスが全部を知ってて、僕らはパズルのコマで、撮り終わった後に自分たちがパズルの素材として、どのようにして大きい絵にハマるのか、それが楽しみなんだよ”と言っていた」と貴重なエピソードを明かした。
そして待望のウェス・アンダーソン監督が登場し、「このようなイベントが実施出来たのもサーチライト・ピクチャーズのチームのおかげで感謝しているし、参加してくれたクン(野村訓市氏)にもありがとうと言いたい」と胸いっぱいの様子。続けて日本にいれないことを惜しみながら「2018年の『犬ヶ島』で来日をして皆さんと作品を分かち合うことが出来た。日本に滞在するときはいつも最高の気持ち。実はクンと秘密のプランを練っていて、1年滞在し、古い旅館をリストアして旅館ビジネスに参入!というようなことも考えている」と相変わらずの日本愛を炸裂。「今はちょうどスペインで新作を撮り終わって編集中という状態ではあるのだが、もし日本で1年滞在となればその体験からなにか映画的なものが生まれるということは想像に難くない」と笑顔で明かした。