Feb 09, 2024 news

「ただ、ママのもとに帰りたい」9歳の少女の苦しみを繊細かつ強烈な描写で描いたベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作 映画『システム・クラッシャー』

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社会に居場所がなくなってしまった9歳の少女を繊細かつ強烈な描写で描き、第69回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞をはじめ、ドイツ映画賞など世界各国で37冠に輝いた、映画『システム・クラッシャー』。この度、本作の予告映像とポスタービジュアルが公開された。

監督・脚本は、本作で長編映画デビュー作を果たしたノラ・フィングシャイト。ホームレスのための避難所生活を描いたドキュメンタリーの撮影中に初めて“システム・クラッシャー”と呼ばれる子供がいることを知ったことから、教育支援学校、緊急収容センター、児童精神科病棟などの関係者と綿密に取材を重ね、現場を体験しながら5年間のリサーチを経て脚本を執筆し、映画化した。

本作は、ドイツ本国では2019年9月に劇場公開され、観客動員数20万人突破の大ヒットを記録。日本ではEUフィルムデーズ2021、ドイツ映画祭Horizonte2021でも上映された。

本作が高い評価を得たノア・フィングシャイト監督は、2作目『消えない罪』で主演にサンドラ・ブロックを迎え早くもハリウッドへ進出。3作目となる『The Outrun(原題)』はアルコール依存症の克服を描いた作品で、シアーシャ・ローナンが主演・製作を務めた。

ベニーを演じた主演のへレナ・ツェンゲルは、2008年生まれの現在15歳。撮影当時は10歳という若さで、2020年ドイツ映画賞の主演女優賞を歴代最年少で受賞。ヘレナは本作出演後、トム・ハンクス主演作『この茫漠たる荒野で』に孤児役で出演し、フィングシャイト監督と同様にハリウッド映画デビューを遂げ、第78回ゴールデン・グローブ賞の助演女優賞にノミネートされた。今後はA24製作の『The Legend of Ochi(原題)』でウィレム・デフォー、エミリー・ワトソンとの共演が決定している。

ベニーの救いの鍵を握るトレーナー、ミヒャ役には『西部戦線異状なし』で重英国アカデミー賞ノミネートに輝いたアルブレヒト・シュッフ。さらに、ベニーを担当する忍耐強く愛情深いソーシャルワーカー役をドイツの名バイプレイヤー、ガブリエラ=マリア・シュマイデが演じる。

そしてこの度、ニーナ・シモンの名曲「Ain’t Got No, I Got Life」が印象的な、本作の予告映像が公開された。ニーナ・シモン自身もアメリカが持っていた様々な矛盾や問題、そして自身の置かれた環境や家族や自分自身への怒りをストレートにぶつけ、一時は音楽業界からも忌避された過去を持つ。本作の主人公・ベニーと、伝説のアーティスト ニーナ・シモンの姿が重なるようにも感じられ、作品への期待が高まる。

映画『システム・クラッシャー』は、2024年4月27日(土)より全国順次公開。

作品情報
映画『システム・クラッシャー』

9歳の少女ベニーは、幼少期に父親から受けたトラウマを背負い、手の付けようのない暴れん坊と化してしまう。その怒りようといったら烈火のごとく、里親、グループホーム、特別支援学校、どこに行こうと問題を起こして追い出されルベニー。そんなベニーの願いは、ひとつ。「ただ、ママのもとに帰りたい」。しかし、母はベニーに対して愛情は持ちながらもどのように接していいのか皆目見当がつかず、施設へと押し付ける。このままでは何処にも居場所がなくなってしまうという中、非暴力トレーナーのミヒャは、自分とベニーの2人きり森深くの山小屋で3週間の隔離療法を受けさせることを提案。はじめは文句を言い続けていたベニーだったが、徐々にミヒャへ心を開き始め、ある変化が現れる。

監督・脚本:ノラ・フィングシャイト

出演:ヘレナ・ツェンゲル、アルブレヒト・シュッフ、リザ・ハーグマイスター、ガブリエラ=マリア・シュマイデ

配給:クレプスキュール フィルム

© 2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF

2024年4月27日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

公式サイト crasher.crepuscule-films