May 08, 2024 news

出逢ったことのない人の死を悼むことができるのか? 新進気鋭の映画作家が生まれ育った沖縄の歴史と今を見つめるドキュメンタリー 映画『骨を掘る男』

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40年にわたり沖縄戦の戦没者の遺骨収集を続ける具志堅隆松の活動を通して、戦争の記憶と記録をどう次世代に引き継いでいくのかを問いかけるドキュメンタリー映画『骨を掘る男』が公開される。この度、本作の予告映像が公開された。

沖縄戦の戦没者の遺骨を40年以上にわたり収集し続けてきた具志堅隆松。これまでに、およそ400柱を探し出した彼は自らを“ガマフヤー”と呼ぶ。ガマは沖縄の自然壕、フヤーとは掘る人という意味。砕けて散乱した小さな骨、茶碗のひとかけら、手榴弾の破片、火炎放射の跡。拾い集めた断片から、兵隊か民間人か、どのような最期をとげたか推察し、想いを馳せ、弔う。

掘ってみるまで、そこに本当に骨が埋まっているかどうかはわからない。それでも掘りつづける行為を具志堅は、観念的な慰霊ではなく「行動的慰霊」だという。

沖縄本島には激戦地だった南部を中心に、今も3000柱近くの遺骨が眠っているとされる。沖縄の人びとや旧日本軍兵士のものだけではない。米軍兵士、朝鮮半島や台湾出身者たちの骨を含んだ島の土砂が辺野古新基地のための埋め立て工事に使われようとしている。

監督を務めるのは、新進気鋭の映画作家、奥間勝也。彼もまた沖縄戦で大叔母を亡くした戦没者遺族である。しかし、生まれるはるか以前に亡くなった大叔母とは会ったことがない。具志堅の遺骨収集に同行し、沖縄戦の膨大なアーカイブ映像に目を凝らし、大叔母の生きた痕跡を探す奥間は、繰り返しこう自問する。「出逢ったことのない人の死を悼むことはできるのか?」 その問いはやがて「平和の礎」に刻銘された24万の名を読み上げるいくつもの“声”と共鳴し、戦火と分断の時代を生きる私たちを震わせる。

映画『骨を掘る男』は、2024年6月15日(土)より全国順次公開。

作品情報
映画『骨を掘る男』

沖縄戦の戦没者の遺骨を40年以上にわたり収集し続けてきた具志堅隆松。砕けて散乱した小さな骨、茶碗のひとかけら、手榴弾の破片、火炎放射の跡。拾い集めた断片から、兵隊か民間人か、どのような最期をとげたか推察し、想いを馳せ、弔う。沖縄戦で大叔母を亡くした戦没者遺族である監督の奥間勝也は具志堅の遺骨収集に同行し、沖縄戦の膨大なアーカイブ映像に目を凝らし、大叔母の生きた痕跡を探す。

撮影・編集・監督:奥間勝也

配給:東風

©Okuma Katsuya, Moolin Production, Dynamo Production

2024年6月15日(土) ポレポレ東中野、第七藝術劇場、京都シネマ、6/22(土)桜坂劇場ほか全国順次公開

公式サイト closetothebone