Jun 28, 2023 news

フェルメールやレンブラントに影響を受けた新鋭監督が魅せる、メランコリックな大人の寓話 映画『栗の森のものがたり』

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スロヴェニア出身の新鋭グレゴル・ボジッチ監督が、イタリアとユーゴスラビアとの国境に位置する広大な森を舞台に、孤独な2人の人生を幻想的に描き出した、映画『栗の森のものがたり』の特報映像5本が一挙に公開された。

1950年代。かつては安息の地と呼ばれ、息を呑むような美しさを誇った栗の森に囲まれた、イタリアとユーロスラビアの国境地帯にある小さな村。第二次世界大戦終結後、長引く政情不安から人々の多くは村を離れ、または戻ってくるはずもない家族や隣人をただ待ち続ける。老大工のマリオは、家を出たまま戻らない1人息子からの連絡を待ち続け、投函することのない息子宛の手紙に思いを綴っては引き出しにしまう。

栗売りのマルタは、戦争から戻ってこない夫からの手紙と数枚の写真を唯一の手掛かりに、現在住んでいるであろうオーストラリアに旅立つ決意を固めている。そんなある日、マルタとマリオは出逢い、互いの身の上を語りながら、その境遇を思いやる。そしてマリオはマルタにある提案を持ち掛けるのだが‥‥。

監督・脚本・編集を手掛けたのは、本作が長編デビューとなるスロヴェニア出身の新鋭グレゴル・ボジッチ。本作は、2019年のトロント国際映画祭でプレミア上映されるや大喝采を浴び、スロヴェニア国際映画祭では最優秀作品賞、監督賞、男優賞、撮影賞、観客賞など11部門を独占。2020年に開催されたなら国際映画祭では、コンペ作品の中で「最も美しい」と評され審査員特別賞に輝いた。

フェルメールやレンブラントといったオランダの印象派の画家に影響を受けたというボジッチは、35mm とスーパー16mmフィルムを駆使し絵画のような風景を切り取る。使い古しの洗面器にピッチャーや果物、箒や靴、洗濯カゴや紙くずまで何もかもが優しい光に照らされ、ゆっくりと時が流れる森の日常を、陰影深く描き出した独特の映像美で魅せる。

賭け事が大好きで、病弱な妻にも辛らつな言葉を浴びせる老大工マリオ役を演じるのは、イタリアの名優マッシモ・デ・フランコヴィッチ。お金を貯めて「栗の森」を離れようと考える栗拾いマルタ役には、クロアチアで活躍するイヴァナ・ロシュチッチ。マリオの妻ドーラ役は、イタリアの名女優として200以上の演劇や映画に出演する演技派、ジウジ・メルリが扮した。

ボジッチ監督がロシアの文豪アントン・チェーホフの短編小説にインスピレーションを受け、人生の機微を甘くほろ苦く描いたメランコリックな大人の寓話に、期待が高まる。

映画『栗の森のものがたり』は、2023年10月7日(土)より全国順次公開。

作品情報
映画『栗の森のものがたり』

1950年代。かつては安息の地と呼ばれ、息を呑むような美しさを誇った栗の森に囲まれた、イタリアとユーロスラビアの国境地帯にある小さな村。第二次世界大戦終結後、長引く政情不安から人々の多くは村を離れ、または戻ってくるはずもない家族や隣人をただ待ち続ける。老大工のマリオは、家を出たまま戻らない一人息子からの連絡を待ち続け、投函することのない息子宛の手紙に思いを綴っては引き出しにしまう。栗売りのマルタは、戦争から戻ってこない夫からの手紙と数枚の写真を唯一の手掛かりに、現在住んでいるであろうオーストラリアに旅立つ決意を固めている。そんなある日、マルタとマリオは出逢い、互いの身の上を語りながら、その境遇を思いやる。そしてマリオはマルタにある提案を持ち掛けるのだが‥‥。

監督:グレゴル・ボジッチ

出演:マッシモ・デ・フランコヴィッチ、イヴァナ・ロシュチッチ、ジウジ・メルリ、トミ・ヤネジッチ

配給:クレプスキュール フィルム

© NOSOROGI – TRANSMEDIA PRODUCTION – RTV SLOVENIJA – DFFB 2019

2023年10月7日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

公式サイト chestnut.crepuscule-films