チャーリー・シーン主演、『ザ・デクライン』(81)『反逆のパンク・ロック』(83)『ウェインズ・ワールド』(92)のペネロープ・スフィーリス監督による、映画『ブロークン・ジェネレーション』(85)。日本では未公開、VHSの発売やテレビ放送で終わっていたが、制作から37年を経て、8月19日(金)より新宿シネマカリテ、9月9日(金)よりシネ・リーブル梅田、アップリンク京都ほか全国にて、最新のデジタル・ニューマスターで初公開となる。
この度、日本版予告映像が公開された。
パンク・ドキュメンタリー映画の最高峰といわれる『ザ・デクライン』(81)でアメリカン・パンクの生態を捉え、『反逆のパンク・ロック』(84)では社会から排除された孤児たちの儚い日常を切り取り、『ウェインズ・ワールド』(92)で興行収入1億ドル突破したペネロープ・スフィーリス監督が、実在の連続殺人鬼の記事を目にしたことを動機に不安定な若者の苦い青春像を描き出した衝撃作。本作は米国初公開時、ジョナサン・カプラン監督『レベルポイント』(78)や、テレンス・マリック監督『地獄の逃避行』(73)と比較され、誰もが抱える大人への成長の不安と殺人鬼の心理を描ききり、あからさまな共感を求めない淡々と絶望を綴る演出で高く評価された。
日本版予告映像で、どこにでもいる若者たちは希望を求め、田舎町からLAを目指す。だが80年代のロサンゼルスの街並み、夜景はその危険性と共に2人を少しずつ蝕み、自分の中に秘めた何かはやがて狂暴化する。映像冒頭は「この映画を撮ったことを、後悔している。」という、監督の衝撃的な言葉が。実際ペネロープ・スフィーリス監督は海外メディアの取材に対し、本作の暴力性を悔いていることを常に語っており、今現在ならば本作を撮っていないだろうと話している。
あわせて公開された日本向けのビデオメッセージにおいても、「皆さんに楽しんでほしい」と語ると同時に「暴力的な作品で恐らく今日なら撮りません」と監督は話しており、本作の強烈な暴力を単なるエンタテインメントとして捉えてもらいたくない、あくまで反暴力のメッセージを込めたものだ、ということを観る者に理解してほしいということだと推測できる。
主演は『処刑ライダー』(86)、『プラトーン』(86)、『ウォール街』(87)などでスター街道を突き進むこととなるチャーリー・シーンと、主演作『グリース2』(82)の大コケで干され気味だったマックスウェル・コールフィールド。主演2人の鬼気迫る演技と、ドキュメンタリー映画出身の監督ならではのリアルな描写と設定は、フィクションという枠を超えて人間の抱える本物の恐ろしさに満ちている。どこにでもいる普通の若者が些細なきっかけで破滅への道を辿ることとなる展開は如何にもリアルなもので、海外では本作はホラー映画を観るよりもはるかに恐ろしい映画体験と語る者が多い。
いまやアメリカ映画史上の傑作といわれる『地獄の逃避行』で主演を務めたチャーリー・シーンの父、マーティン・シーンは本作の試写で途中退席したほど。『ブロークン・ジェネレーション』は公開当時も今も、変わらず観る者に現実に起こり得る恐怖を与える役割を果たしている。劇中にフィーチャーされた音楽はCODE BLUE、THE CRAMPS、GREAT WHITE、IGGY POPなど。
映画『ブロークン・ジェネレーション』は、8月19日(金)より新宿シネマカリテ、9月9日(金)よりシネ・リーブル梅田、アップリンク京都ほか全国公開。
とある小さな田舎町。高校卒業を迎えた2人の青年たちは、工場で働く退屈な日々を目前に控え、衝動的にハリウッドへ現実逃避の旅に出る。未来への夢や希望はない。心、友情が次第に引き裂かれていくなか2人は犯罪と殺人に手を染め追い詰められていく‥‥。
監督:ペネロープ・スフィーリス
出演:チャーリー・シーン、マックスウェル・コールフィールド、パティ・ダーバンヴィル、ハンク・ギャレット、クリストファー・マクドナルド、ムーン・ザッパ
配給:ビーズインターナショナル
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2022年8月19日(金) 新宿シネマカリテにて公開 / 2022年9月9日(金) シネ・リーブル梅田、アップリンク京都ほか全国公開
公式サイト newworldpicturesmovie.jp