Feb 03, 2022 news

“国際養子縁組の光と影”を描く 映画『ブルー・バイユー』30秒予告映像が公開

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2021年カンヌ国際映画祭に出品され、8分間におよぶスタンディングオベーションで喝采を浴びた、愛と感動の物語、映画『ブルー・バイユー』。監督・脚本・主演を務めるのは、『トワイライト』シリーズで俳優として知られ、監督としても数々の賞を受賞している韓国系アメリカ人、ジャスティン・チョン。共演は、2015年『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル。

韓国で生まれ、わずか3歳で遠くアメリカに養子に出された青年が、自身は知る由もない30年以上前の書類不備で、国外追放命令を受け、二度と戻れない危機に瀕したらどうするか?アメリカの移民政策で生じた法律の“すき間”に落とされてしまった彼は、愛する家族との暮らしを守れるのか。不器用な生き方しかできない男、大きな愛で支えようとする女、義父を失う不安を抱える少女。家族を襲う不幸に揺れ動く3人を美しい映像と共に力強く描いた傑作。

このたび、30秒予告映像が公開された。

ジャスティン・チョン監督が、国際的な養子縁組で起こってきた問題を、韓国人コミュニティを通して知ったことがきっかけとなり作られた本作。映画のテーマとなっている”国際養子縁組”とはそもそもどういったものなのか?

本作の主人公アントニオは、韓国に生まれ、1988年に3歳で養子としてアメリカに渡ってきた。このような国境を越えて行われる養子縁組を国際養子縁組と呼ぶ。統計によると、韓国が1953年から2010年までで総計16万人余りの国際養子を送り出してきたこと、特に1970年頃からその数が急増して2005年頃まではコンスタントに年間2000人を超え、1985年頃には年間8000人を超える勢いであったこと、2005年以降は世界的にその数がぐっと減少してきていることがわかる。

国際養子縁組が行われてきた背景には、先進諸国では養子をとりたいと願う養親希望者の数に比べて養子になる子供が少なすぎ、発展途上国では養親を必要とする子供が多いのにもかかわらず、自国内では十分な数の養親希望者を見つけることができないという事情があった。国際養子として新しい国にやって来た子供のなかには、先進国の豊かな社会の中で養親の愛情に恵まれて幸福に育った子も多かっただろうが、アントニオのように悲惨な人生を送ることになった子も少なからずいたと考えられる。

もともと国際養子縁組は、ひとつ間違えば、子供の人身売買になりかねない危険な制度であった。1980年代には国際社会において、このような国際養子縁組の危険性が強く自覚され、これに対処する取り組みがなされ、その結果、1993年にハーグ国際私法会議という組織によって「国際養子縁組に関する条約」が作成された。この条約は、国際養子として他国に養子として送られる子供たちが、危険に巻き込まれることなく、安心して安全に暮らすことができるように、様々なルールを定めている。この条約の加盟国は、厳格な手続きを経て国際養子縁組を実施しなければならないことになっている。

専修大学法科大学院教授の早川眞一郎氏は「もし仮に、アントニオが韓国からアメリカに国際養子として渡ったときにこの条約が存在していて、韓国とアメリカの両国ともにその加盟国であったならば、アントニオの悲劇はおそらく回避されていたのではないか‥‥。」と寄稿にて述べている。

映画『ブルー・バイユー』は、2月11日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開。

作品情報
映画『ブルー・バイユー』

韓国で⽣まれ、3歳の時に養⼦としてアメリカに連れてこられたアントニオは、シングルマザーのキャシーと結婚し、娘のジェシーと3⼈で貧しいながらも幸せに暮らしていた。ある時、些細なことで警官とトラブルを起こし逮捕されたアントニオは、30年以上前の養父母による手続きの不備で移⺠局へと連⾏され、国外追放命令を受けてしまう。下手をすると強制送還されて二度と戻れない危機に瀕し、2人は裁判を起こして異議を申し立てようとするが、最低でも費⽤が5千ドルかかることがわかり途⽅に暮れる。家族と決して離れたくないアントニオはある決⼼をする。

監督・脚本・主演:ジャスティン・チョン

出演:アリシア・ヴィキャンデル、マーク・オブライエン、リン・ダン・ファム、エモリー・コーエン

配給:パルコ ユニバーサル映画

©2021 Focus Features, LLC.

2月11日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

公式サイト universalpictures.jp/micro/blue-bayou